受験期の子育て

【連載】西京哲学―西京前校長村上先生が語る―(第1回:西京高校の道程)

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「京都の高校御三家」と称されるほど評判の高い高校の1つである西京高等学校。西京を志望校として日々勉強をがんばっている受検生も多いと思います。

今回は西京高校の創立準備段階から携わられておりました、前西京高校校長で現在京都市教育委員会学校指導課に勤務なされています村上英明(むらかみひであき)先生に西京高校での教育や受検について、子どもとの向き合い方について、さらには迫る入試制度改革について、お話していただきました。

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 「西京の強み」を徹底的に追究

―「21世紀型のスキル」といったものが叫ばれている時代ですが、エンタープライジングという理念の下、村上先生はどういった教育を目指され、どういった生徒像を育成しようとされていらっしゃいましたか。

西京高等学校エンタープライジング科を創ります時に、「京都の公立高校改革」という使命を担ってました。有名な進学校である私学高校だったり、大学を持たれてる同志社高校や立命館高校だったりが人気で、公立高校がかなり地盤沈下しているというところがありましたので、そこを何とかしたいというのがありました。

堀川高校が最初に「人間探究科・自然探究科」を立ち上げられたんですね。その堀川高校の改革に色んなことを学ばしていただきました、私たちはもちろん仲間ですから。その中でじゃあ次西京を改革するぞという時に、「堀川とどこが違うのか」というのが一番問われていたところで、堀川高校が出されていたメッセージ性であるとか、大学受験の実績であったり育成される人材というのは大変立派なものだと思いますし、参考にさせていただきながらも、でもやはり堀川高校とは違ったものを提示するという必要があったのです。

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私どもが西京高校に改称してエンタープライジング科を創設したのは丁度21世紀に入ったところの2003年でして、やはり20世紀とは少し違うコンセプトを作らねばならないと、作る必要があると思って色んなことを考えていました。それで「西京の強みは何なのか」ということを徹底的に追究していたんですね。そのときに出てきたのが商業高校時代の財産なんです。

西京高校は元々、明治時代からの伝統がある商業高校だったので、商業からの転身、いうのがあったんですけれども、明治時代以来長く日本の経済界や、欧米化等の様々な産業革命であったりの一躍を担っていたことは事実なんですね。そういう先輩方や資産というのは京都の中にもたくさんあって、そことの接続性といいますか、そこからコンセプトを引っ張ってくるべきだということに至ったんです。ですので「研究」というような学術界に貢献するというよりも、企業や実社会に貢献できる人材の育成を西京ではしていると、保護者さんの説明会では言ってます。もちろん、西京から学術界に行く者もいるので色々なのですが。主として分かりやすいコンセプトをあげるなら、ということですね。

したがって西京の教育の中身を考える時に、起業したり、企業の中で能力を発揮したり、あるいは色んな世界を視野に入れたグローバルな企業を立ち上げる時に必要な能力であったり、こういうものを育成することを目標に掲げました。それで、まず精神性にはどういうものがあるのか、スピリッツの面でその目標に必要なものは何なのかというのを考えました。そしてこれが「チャレンジシップ」、要するに「挑戦していくこと」、これ、企業では一番大事であると思うし、それをメンタリティとして掲げようとなりました。全てのものに挑戦していく、困難なことであっても挑戦していく、新しいものであっても挑戦していく、ということで「進取(進んでものごとに取り組もうとする気概)・敢為(あえて困難に立ち向かおうとする気性)・独創(自由な発想と果敢な実行力)」という教育理念が生まれたんですね。それ以外でも教育理念を作る時、もっと多面的な分析をしました。今の社会に欠けているものとか、今の若者に欠けているもの、今の日本に必要な人材というのは何なのか、というのを考える中で出てきたんです。

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それと開校する2.3年前からなのですが、起業家や企業の創業者の方に、私たち教員、あるいは開校の準備に携わった者がお会いして、今の若者に、日本に、必要なものは何なのか、どういう人材なら企業は活躍していけるのか等何回も聞き取りをしました。私自身も色んな企業に行ったり、あるいは経済評論家やコンサルティングやっている方に来ていただいたり訪問したりしてお話を聞いたりしたんです。その中で必要な資質は「新しいものに挑戦する」とか、「あえて困難なものに立ち向かう」とかで、じゃあ具体的に何が必要ですかといったときに、「コミュニケーション能力」。要は人の前で喋れるとか、人の話がきちんと理解できるっていうことが必要だと。

 

実社会で活躍するために必要な資質能力を育てる―①「使える英語」を取り入れた先駆的な英語教育

 もちろん日本語でコミュニケーションをとるのは大事だけど、やはりこれからは英語だと。大学入試の英語や英文学を理解する英語でなくて実際に交渉していく、セッションしていく、そういう「使える英語」を目指していこうとなりました。今はもうそれ普通になって文科省が言うてるんですけど、私どもは15年くらい前から言うてました。

もっと実際に使っていける英語、下手な発音でもいいから。笑 ていうのはね、日本人って英語を習うときに綺麗な発音をしなさいとか、そんな発音では通じないみたいな、発音のことをよく言われてたんですよね。あるいは文法が間違っていたらだめだみたいな教育を受けた。ところが、その当時ですね、丁度中国等のアジア圏で英語の教育が興ってきたんですよ。彼らの英語って発音めちゃくちゃ良いわけではないけれども日本人より英語でコミュニケーションしてる。だから日本もそれでいったらいいんちゃいますっていう話をしてました。今日本はまさにそうなってますよね、ほとんど。英語の授業は英語のみでやるようになってきてるし。15年前に目指してた英語っていうのはそういう英語なんです。それを基に西京の英語の授業を構築しようとなったんです。英語のプレゼンテーションをやったり英語のディベートをやったり。これは当時、文科省はそういう科目を持ってなかったものですから、いわゆるリーディング、ライティングというものだったので、独自の科目と「使える英語」の独自テキストをつくりましょうということになりました。今でもテキストはオリジナルです。どんどん改訂していますけども。 使える英語を教えるということは英語でディベートもできるし色んなプレゼンテーションもできるようにならないといけない、それを全員必修にしようと、これが専門科目だということですね。

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実社会で活躍するために必要な資質能力を育てる―②生徒のそばに「世界」がある環境づくり

英語を使えるだけではなくて、やっぱり世界を見据えないといけないわけです。そのツールが必要だというところで出てきたのが「情報」です。

当時情報ネットワークがいよいよ実際に動き出した頃だったんですね。そこでそのネットワークをどんどん使って高校生が海外とやりとりできる、ということが日常的に行われなければいけないと。当時はどこでも、そうだったのですが、コンピュータが30台か40台か並んでいる部屋、いわゆるコンピュータ室をつくって、検索ができて、文章が書けて、それでインターネットが繋がったらいいという発想だったんですけど、もうそれではもうだめだと。日常的にネットワークを使う時代が必要だ、ということで、「じゃあ全員にパソコンを持たせましょう」となったんです。いわゆるラップトップパソコン、A4型ノートパソコンってやつですかね。それを生徒全員280人に持たせると。

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実はそういう風に業者に手配してくれるように言ったらね、断られました。同じスペックで同じソフトが入っていて、セキュリティも全部そろえないといけないもんですから、当時そんなことでやってたところはないので。業者がだめだったから何とか本社に話にいきました。もう色んなことがあって大変だったんですけど、まあでもパソコン導入できました。

まだ校舎改築をしていた段階なので、新築をしながら学校の中身をつくっていたものですから、全生徒パソコン所持計画が突入できる時だったんです。全部校内LANを張ってくれとお願いしたんです。生徒がいつでも使える状態、普通の授業もパソコン使うっていうの環境にしたかった。

「英語とコンピュータがこれから必要なツールだ」というのを堀場製作所の堀場雅夫さんに話に行ったときに言われたんです。「絶対や」言うて。笑 それもあって本格的にいれるということにしたんですね。開校2年前くらいですかね。その関係があって堀場雅夫さんには学術顧問になっていただいたのです。

―徹底的に実社会に必要な教育をするというところから発信して、何が必要かというところを構築していったんですね。

そうそう。ただそのとき堀場さんがおっしゃったのは、「だけど、高校出てすぐではやっぱりだめだ。」と。つまり、それなら高校出たらすぐ起業家になったらいいじゃないかとか、高校出て勤めたらいいんじゃないかという声もあったんですけども、やはり「専門性」は必要だと。つまり何か打って出るときに、自分の強い自信のある「これなら自分はやっていける」という強み、といいますか。これはやはり大学、あるいは大学院で専門性を磨いてもらわないとだめですよと。それならやっぱり大学も行けないとだめで、大学受験のための学習もしないといけない。それにプラス英語が使えて情報が使えて、チャレンジングな精神性も持って、という学校を創る。これがいわゆるエンタープライジングという考え方です。

大学に行かせることを目的に学校を創ったわけでないんですね。でも必要だし、やはり大学も行きましょうと。でも社会に出た時、あるいは企業に勤めた時に必要な資質能力、ということでいえばやはり社会のことも知らないといけないし、経済的な観念も必要だと考えたんですね。今はあまりやってませんが企業経営シュミレーションっていうソフトがありまして、会社つくるためにどういう資金が必要だとか、どういう法的な知識が必要だっていうのを全部講義した上で自分で企業を立ち上げたりとか。これはいわゆるアントレプレナーシップっていうものを最初生徒にやらせてたんですね。あるいはアイディア企画演習という、これは今でもやってるんですけども、いわゆる企業に提案していくという、それも15年前から導入していたと。そういうところが西京の特色だと思います。

 

第2回につづく

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当記事は、京都にある「堀川・西京・嵯峨野・桃山高校」専門学科入試専門塾のリングアカデミー講師陣が執筆しています。

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