受験期の子育て

【連載】西京哲学―西京前校長村上先生が語る―(第3回:子を育てるということ)

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(第2回はこちらです。)

「京都の高校御三家」と称されるほど評判の高い高校の1つである西京高等学校。西京を志望校として日々勉強をがんばっている受検生も多いと思います。 今回は西京高校の創立準備段階から携わられておりました、前西京高校校長で現在京都市教育委員会学校指導課に勤務なされています村上英明(むらかみひであき)先生に西京高校での教育や受検について、子どもとの向き合い方について、さらには迫る入試制度改革について、お話していただきました。

 西京の教育方針とマッチするかどうかを考えてほしい

―学校と保護者さんはどういう連携を取っていくのが理想で、あるいは保護者さんがどういうメンタルで中学生や高校生と接していくのがベターだとお考えでしょうか。

現在私どもと保護者さんは、非常に良好な関係です。保護者さんにご理解いただいて入学をしていただくことに一点集中でやってます。中学校、小学校など、ご依頼あれば必ず説明に行きますよと言っています。というのは十分理解して入っていただかないと、入学後にミスマッチ、これが一番困るんです。

京都の公立高校はもともとあまり特色がなかったものですから、いわゆる「金太郎あめ状態」というのが公立高校の一つの特色と言っても過言でなかった。しかし私たちはそれを変えるところにいたわけです。単独選抜になったということは特色をより際立たせるということで、特色が際立つということは、それに合う合わないがはっきりしてしまう。ですから合わなければものすごく不幸なことになる、それが起こらないように、十分丁寧な説明や、こっちの考えをぜひご理解頂いて入学してください、ということを言っています。 高校もそうだし特に附属中学もそうなのですが、入学後にかなりのことを我々は生徒に課します。ですので、「そんなもんは嫌だ」とか「そんなんできない」と言われたら、困るわけです。子どもは弱音を吐くかも分かりませんけど、せめて保護者は「まあまあそう言わんと頑張って」というふうに応援してもらわないといけないので、保護者のみなさんに十分私たちの考えや教育内容の意味、理由を理解していただかなければいけない。

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西京での学びは進学に役立つこと以外のことがたくさんあります。そういうのもやってもらわないと西京に来た意味がないので。受験のための学習だけではアジアや世界のリーダーになってはいかないし、大学行ってからそういう活動をどんどんしていただきたいと思ってるんです。そういう考えに対して、保護者さんが今のところ概ね、非常に好意的にみてくださってますし、理解していただくのはありがたいし、良好な関係ができあがっているのかなと思ってますね。

とはいえ学校のことに一切口出ししないでほしいとかね、全部学校に任せてくださいというわけではなくて、保護者さんには色んな協力をしていただいてます。事実、アジアフィールドワークでは企業訪問、大学訪問をしてますけど、半分くらいは保護者さんのおすすめであったり、「自分のところの企業に来てください」とか、「自分のところの上司がいますから」とか、学習の場の提供をしてもらってるんですよ。どんどん言うてくださいねって。笑 やはり学校だけではやっていけないですから。教員だけではやれないですから。一緒になって学校づくり、教育づくりをやりましょうっていうメッセージをこちらも出してます。

だから様々進言いただいたりご批判いただいたりということも私は全然構わないし、どうぞ言ってくださいと思っています。

―保護者さんや生徒さんにが自分たちの判断で見極めてもらうために、説明会において特にどのような観点を持って、気を付けて聞いてもらえたら理想なのでしょうか。

そうですね。高校受検について言えば色んな教育活動があるので、端的に言えばしんどい。それを自分でこなそうと思うか、しんどいものから逃げたいとか良い学校入ればいいやみたいなことでは厳しい。

―覚悟を持って、ということでしょうか。

そうですね。覚悟を持ってほしい。だって西京でも必ず最下位はおるわけで、必ず。最下位になっても、そこから何とか自分を磨いていく、腐らずにいく、そういう前向きな姿勢というものを持ってほしい。あるいは他の子にはない自分の個性、これがあればやっていける子はいるんですよね。成績はそんなにあがらないけれども、すごく面白い子とかも実際にいるので、そういう生き方を獲得することも大事だと。現実、必ずしも学校の成績順で社会の成績になってないじゃないですか。だから他にはない自分の個性を見つけて、でも、あきらめない、腐らない。こういうメッセージを私は高校生にしています。

子どもの自立を育てる「転んでからのバンドエイド」

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―色んな保護者さんとお話させていただいてると、どうしてもお母さんって不安な気持ちが拭い去れないものなのだなって思うんです。生徒に決断を任せてみるとか、学校に全てをお願いをしきるというのは難しいのかなっていうのを感じていて。

そりゃそうですよ。まだ子どもが小学生の後半から中学生であれば、それは普通だと私は思います。なおかつ教育に熱心である保護者さんが非常に多いですからね。しかし熱心なために逆に過保護になってたりするんですよね。

私は入学前や入学直後の保護者説明会では必ず「過保護過干渉」はやめてください、という説明から入るんです。しかしどうしても手を出してしまうので、転ばぬ先の杖ではなくて、転んでからのバンドエイドって話もするんですけど、要は怪我させましょうという話なんです。

というのはね、以前きちんと全部提出物もちゃんとやってるし、宿題もしてくる子どもがいて、いいなあと思ってたら全部親が段取りしてたとか、親が全部チェックいれてたとか、そういう事実が分かってきて、そこに気が付かなかったものですから、これはあかんよと。保護者さんには心配させようやって思ったんです。それで子どもに失敗させて、この失敗は自分の責任やってことを学んでもらう。自立してもらわないと。親がいないと何もできないでは困るんです。特に大学受験なんて自分で勉強しなくてはだめじゃないですか。

実は中高一貫を始めた最初の頃の入学生に良く当てはまるケースなのですが。親が手だしすぎて自立できていない。どこで手を放すか、どこで自分で勉強するようになるのかというメッセージを私たちが出すのを遅れて、結局大学受験するときにチャレンジしない子が多かったんですよ。それは小学校では良い成績で、中学校も頑張って受かって良い成績だったために、最後のところで、目標にチャレンジせず、その下に落ち着くんです。

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なぜなら落ちるの嫌だから。つまり失敗したくない。うちの教育方針はチャレンジなんですよ。これはだめだと思って、チャレンジさせようという風に変えていってる。高校から入った子はチャレンジして西京に入ってるんですよね。だから大学受験もチャレンジしよる。ところが、内進の方がチャレンジするのを躊躇するんです。

もともとモチベーションや能力は多分内進の子の方が高いのかもしれませんが、外進の子の方がチャレンジして入ってきてるものですから、外進の子の方が良い大学に合格できたりしちゃうんですよ。そこで「混ぜる」ことにしたんです。西京はここが強みだと思っています。

内進の良いところと外進の良いところを混ぜること、クラスを一緒にしたり、共に生活させることで、能力がお互いに補完できるんちゃうかと。その中でお互い、競い合ったり刺激し合って色んなものを生んでいけるだろうと思って、こういう風にしています。まあいずれは高1から混ぜようって話はしてるんですけど。

―進度の問題ですか。

そうです。特に数学の進度が合わないんで、そらしゃあない。やっぱり数学は進めるなら進ませた方が良いっていうのが今のところあるので。だから純粋な中高一貫コースでいった方が、スムーズには学力はあがるのかもしれませんけど、あえてそうしてます。それが西京の特色です。説明会でも私はそのことを強調しています。

 大事なのは子どもを信頼して、少し離れて見守ること

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―思春期の子どもとの関わりについて悩んでいる親御さんは多いと思うんです。過干渉とがでてしまう方もいらっしゃいますし、子どもが反発してしまってコミュニケーションとれないっていう方もいらっしゃると思うんですけど、保護者さんが、特に思春期の子たちと向き合うにあたって心がけた方がいいことですとか、向き合う上での観点みたいなものがあればお教えいただきたいです。

子どもへの信頼ですね。

どの親も子どもを信頼はしてるんですけど、信じてても色んなこと起こりますからね。「こんな子になってしまって」とか、「自分の失敗やったんちゃうか」とか思ってしまうんですよね。でも全然そんなことないですから。

保護者さんからもそういう相談を受けるんですが、それは一過性の病気みたいなものですから、すぐに治りますよ。って言ってるんです。私らだってそうでしたから。反発して当たり前なんですよ。反発しない子の方が問題です。自立できてないんですよ。反発するのが自立への過程なので、子どもが反発したときに、「でもこの子のことは私が良く知ってて、信頼してるから任せとこう」となってほしい。絶対いずれはそういう時期から抜けてきます。

特に中学校のお母さんたちが不安がられるので全然大丈夫ですよというメッセージはだします。 キャリアガイダンスで、卒業生や受験直後の子に来てもらって、保護者さんの前でパネルディスカッションをするんですけど「受験期どうやった?」って聞いたら「反発していて親と一言も口ききませんでした。」とか、ちゃんと彼らは言ってくれるんですよ。でも「こういうことを声かけてくれたら嬉しい」とか、「黙って見守ってきてくれたのがすごい嬉しかった」っても言いよるんですよ。発表している子の保護者さんも来るんですけど、もうお母さん泣いてましたよ。それも受験直後の3月末にやってますから、色々思い出されてわんわん泣いていらっしゃいました。やっぱり子どもをどれだけ信頼できるかっていうところじゃないですか。抽象的やからね、悩みの解消にならないかもわからないですけど。

―信頼するために子どもの何を見てあげたらいいんでしょうね。

そうですね。要するに密着してしまうのでは近すぎるんですよね、親子関係が。だからちょっと離れて自分の子どもを見るっていう距離感。その時に、色んなことが起こっても、「でもちっちゃいころからこうやってきたんやから、大丈夫なんや」って思ってその距離感を保つってことですね。近すぎると子どもと同じように考えてしまって、子どもの言うことをそのまま受け取ってしまって、親も子どもと同じ喜怒哀楽になってしまうのはあまり良くない。

親という字は「木の上に立って見る」と書くでしょう。っていう話をしたりするんですが、まあ、字の形だけ見ればっていう話なんですけど。やっぱり離れて子どもを見守るというのは大事なんですよね。離れたら不安なのは分かるんですが、それは信頼してないからなんですよね、自分の子がどうなっていくかわからへんから。

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自立していくのは中学生からなんですよ。この時期に上手に子どもを離していけるかってこと。まあ色んなこと起こりますよ、中学校の中で。そこで親がどういう態度で、どういう風に接することができるかというのが一番大きいんじゃないですか。私にも子どもがいて、受験期も経験してますから、親がどういう気持ちなのかってのはある程度分かっています。私も保護者でしたから。笑

 

第4回へつづく

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当記事は、京都にある「堀川・西京・嵯峨野・桃山高校」専門学科入試専門塾のリングアカデミー講師陣が執筆しています。

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