受験期の子育て

【荒瀬克己特別対談】元校長×元生徒会長―今こそ語らう、堀川高校

Image_ecf506f

「元堀川校長」荒瀬克己 ×「元堀川生徒会長」坂上菖一郎。

「堀川の奇跡」を実現させたあの校長と、見事堀川での活動が実を結び京大特色入試に合格した卒業生。

坂上さんがこの日のために用意したのは、荒瀬先生に聞きたいこと、自分なりに考えたことをまとめた手書きのメモ。荒瀬先生に対峙するための、19歳の背伸びを感じました。

その坂上さんに、荒瀬先生はまさに「真正面から」話す。

荒瀬先生から「いいことを言おう」そんな姿勢は一切感じられない。

学生相手に「理解してあげよう」という姿勢も感じられない。               

「元校長と卒業生」つまり「先生と生徒」ではなく、「人と人」との対話が、そこにはありました。

荒瀬克己

元堀川高校校長。現在大谷大学教授。

堀川高校に探究科を設立、様々な学校改革を行った。改革後の京大合格者数の急激な増加により、教育関係者やメディアから多くの注目を集める。2007年10月に、NHK番組「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演。「『背伸びが 人を育てる』校長・荒瀬克己」として放送された。 著書に『奇跡と呼ばれた学校』(朝日新書 2007年1月)、『子どもが自立する学校』(共著,青灯社 2011年1月)がある。
坂上菖一郎

堀川高校人間探究科を昨年卒業。現在京都大学文学部1回生。

高1後期より、生徒会長。体育祭・文化祭などの生徒会行事の取り仕切りをしながら、祇園祭ボランティアなど、様々な取り組みに挑戦。探究活動では言語文学ゼミに在籍。「宮沢賢治童話におけるキツネの役割」について文献調査を行い、旺文社主催のコンクールでも入賞。こうした活動を元に、昨年京大で初めて取り入れられた特色入試に見事合格。堀川の探究活動が実績として大きく認められた。

img_9472_31493621566_o

▽目次

第ゼロ篇 荒瀬克己の「堀川高校」 
 ――荒瀬が目指した「堀川高校」はどういう生徒を求めているのか?

第一篇 堀川で得た「学び」 
 ――元生徒会長が堀川で得た「学び」・京大特色入試との関係とは。

第二篇 荒瀬克己の葛藤 
 ――「堀川のやり方がすべて正しいとは思っていない」その真意を探った。

第三篇 教師がやるべきことは何か 
 ――荒瀬の描く“教師のあるべき姿”とは。

第四篇 若者よ、すぐに答えるな 
 ――卒業生坂上に見えた、若者の理想。
 
番外編 堀川制服奮闘記
 ――“世界にたった一つの”チェックのスカート。その秘密とは。

 

第ゼロ篇 荒瀬克己の「堀川高校」 

来たれ、堀川高校へ

荒瀬

そもそも探究基礎なんかしたくないという人もいる。

そういう人もぜひ堀川に入って来てほしいんですよ。

そうして入ってきた人たちに、いかに学ぶことが面白いかを知ってほしい。

どの人にも、「偏差値が高い」といわれている人にもそうでない人にも、学びを通して成長していく過程を楽しんでほしいですね。これからの社会がどのようになっていくかはだれも予想できない。だからこそ「自分で学ぶきっかけ」を見つけてやっていかなければならないわけです。辞書も1冊しか持ってない人は1冊しか引けない。それが、複数引いたほうがいいということに気づく。堀川ではそういったことに出会ってもらいたいんです。

探究科とか普通科とかじゃない。「堀川高校」である

荒瀬

「探究基礎の取り組み」は「探究科の取り組み」ではありません。「普通科を含めた堀川高校の取り組み」です。

「We are the Horikawas!」とあなたも言ったことがあるでしょう。人はみんなちがう。そのちがいを認め合って、集団として生きている。その意味はそこですよ。「私たちは堀川の仲間である、私たちは“堀川”なのだ」。堀川は、個も集団も大事にしたいと思ったんですね。個が集まって堀川をつくる。

img_9465_30722422173_o

 

第一篇 堀川で得た「学び」

二兎は追える、それだけだ

坂上

荒瀬先生が堀川に残してくださった「二兎を追え」というメッセージをどのように考えているのかをお聞きしたいです。自分は高校生活で何兎も追って、その中でたくさん「学び」を得ました。

荒瀬

二兎を追うというのは単純なこと。ひとつのことだけを追わない、それだけ。「二兎を追うものは一兎をも得ず」というが、「二兎を追ったら一兎をも得ない、ということはない」それを明らかにしたいだけなんですよ。これからの社会、何か一つのことに集中することも大切だが、そのとき常に「何か違う別のこと・別のものの存在」を意識するのが大切なのではないかと感じたんですね。

img_9412_31416066401_o

坂上

そうですね、僕の中でも今の荒瀬先生のお話で思考がすっきりしました。高校2年生の夏頃、探究活動も生徒会の活動もあるなか、僕としてはさらにもうちょっと欲張りたいという気持ちがあって。「ホントにやらなあかんことはどれやろ」と常に考えていました。いろんなことを一気に考える必要があって、自分の中で深みができた時期だと思います。堀川高校で得たものは何ですか?と聞かれたら、その経験やそこで得た苦労、それをまず一番に挙げると思いますね。

荒瀬

それは大変ありがたいことですね。

堀川の生徒はみんな忙しいですよね。実際みんな「忙しい、忙しい」という。それを私はとてもいいなと思うんですよ。一般的にいうと高校生って、たとえば勉強と部活とアルバイトと、とかね、そういうので忙しいというのもまたいいと思うんです。けど堀川は「雑多に忙しい」。いろんな活動をやりながら、それら一つひとつをしっかり受け止めている。それを“普通に”やりますよね。「あいつも普通にやっているから自分も普通にやるんだ」と言う。それは堀川のとても素敵な部分だと思います。

「京大特色入試」は「堀川探究活動」の縮図

探究基礎の活動が京大特色入試につながったということでしたが、どういう点がどのようにつながったと思いますか。

坂上

探究活動を1年半かけてやったのを2時間半に凝縮したのが特色入試だったんじゃないかなと。論文試験で求められていたのは、「長い課題文から筆者が言いたいこと、自分の考えに使える手がかりをそこからすくいとって、自分の頭の中で組み合わせまとめたものを文字としてアウトプットする」ということ。

これはまさに僕が堀川で1年半かけてやったことで、それを2時間半に圧縮してやりとげる力が求められていると感じました。だから探究と特色入試の関係というのは、特色入試は探究の縮図といえると思います。

img_9443_31416052691_o

荒瀬

なるほど、そうですか。それは面白いですね。京大って自由で、全部自分でやりなさいよと、親切じゃないからいいと思いますよ。その中で泳いで、社会に出ていく。そういった点は堀川が見ているものと似ているように思いますね。

坂上

はい、そうかもしれないですね。それと、さらに感じたのは、探究基礎の活動では京大特色入試に+αがあるということです。入試では短時間ですべてを発揮しなければいけないわけですが、探究活動では反省してもう一度やり直せる機会がある。探究基礎の活動でやっていることについて外部向けにポスター発表をしてフィードバックしてもらったとき、来場者の方からすごく痛い指摘をいただいたことがありました。その指摘を受けてもう一度深く考えてみる。そのもう1サイクルがあると思います。

(堀川高校の探究基礎の活動では、論文を発表する前に外部に向けてポスター発表を行うという段階がある。それを踏まえて最終的に論文にまとめるという流れになっている。)

img_9451_31416048241_o

荒瀬

ああそうですか…それはその方はよく言ってくださいましたね。いい大人に巡り合えましたね。いい大人に巡り合わないといけません。

そのためには堀川という「温室」も仕方ないかと思いますよね。本当はもっと寒い風に当てるということも必要なんでしょうけれども。いいもの・いい大人に巡り会う、その条件としての温室があるんでしょうね。

外部への発表会が最終発表でないようにしている、これもまた生徒への配慮ですよ。生徒が聞く耳持っているところで発表して、指摘も受けなさいねと。本当は「完成した!」というものを否定される、というつらさを経験しなければいけないわけですよ。でもあえてその手前で発表するのは、よりよいものにすることを体験してほしいという意味もあります。

 

「思いません?堀川は『温室だ』ってのを。」元堀川校長荒瀬が今明かす、

堀川高校への葛藤とは。

続編<第二篇 荒瀬克己の葛藤>はここから。

 

 

第ゼロ篇 荒瀬克己の「堀川高校」 
 ――荒瀬が目指した「堀川高校」はどういう生徒を求めているのか?

第一篇 堀川で得た「学び」 
 ――元生徒会長が堀川得た「学び」・京大特色入試との関係とは。

第二篇 荒瀬克己の葛藤 
 ――「堀川のやり方がすべて正しいとは思っていない」その真意を探った。

第三篇 教師がやるべきことは何か 
 ――荒瀬の描く“教師のあるべき姿”とは。

第四篇 若者よ、すぐに答えるな 
 ――卒業生坂上に見えた、若者の理想。
 
番外編 堀川制服奮闘記 
 ――“世界にたった一つの”チェックのスカート。その秘密とは。

 

Pocket

カテゴリー:受験期の子育て

最新情報

LINE

LINE@のアカウントと友達になれば、まなべーと記事の更新情報をいち早く受け取ることができます。

PCから登録

スマホ・タブレットから登録