【洛北附中過去問】2019年度洛北算数の難易度と傾向分析

2019年10月30日
小学生向け 学校/入試情報

この記事では、洛北附中 ( 洛北中・洛北高等学校附属中学校)で出題された過去問のうち、2019年度算数(検査III)の傾向分析をお伝えします。

 

この記事でわかること

・ 洛北附中2019算数の概要(難易度・新傾向等)

・ 洛北附中2019算数の各問別分析(合格するために落とせない問題、捨てる問題)

・ 洛北附中に合格するために必要な算数の力とは

 

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概要

1.例年の傾向


適性をみる検査Ⅲの算数分野はH26年度以降、大問5題から作成されています。例年では、そのうち2題が京都府立中学校共通問題で構成されており、残りの3題が洛北附中の独自問題となっていました。出題される分野にはかなり特徴があり、立体図形、約数・倍数等の数の性質等をテーマにした問題は毎年出題されています。また京都府立中学校共通問題では毎年作図が出題されています。他の問題も、規則性や比、速さを扱う問題が頻出になっています。
洛北附中の算数分野の出題で求められている力は大きく分けて3点です。1点目は「規則やルールを、自分で手を動かして理解する力」、2点目は「与えられた条件を、わかりやすく整理する力」、そして3点目は「戦略を立てて取り組む力」です。
1点目の「規則やルールを、自分で手を動かして理解する力」について、これは、京都公立中学校の算数問題全般に言えることです。算数の問題の多くでは問題文に出てくる初見の規則、操作を理解することが必要になります。そういった問題は条件文を眺めているだけで解けるようにはなりません。条件に従って分かるまで書きだしてみることが大切になります。洛ゼミではこの力を試行力と呼んでおり、思考力へ繋げるための大切な力として重要視しています。
2点目は「与えられた条件を、わかりやすく整理する力」についてです。洛北附中の算数は、算数という教科にしては珍しく問題文が長くなっています。これは不必要な説明があることや、条件設定が複雑であることが多いためです。よって、この試験に取り組む際には、問題文を読みながら必要な情報のみを分かりやすい形でまとめる必要があります。
3点目の「戦略を立てて取り組む力」について、例年の洛北附中の算数は難易度が高く、平均点が低い問題が多いため、満点を狙いに行く必要はありません。そのうえで高得点を取るには、まずは問題の難易度を正しく把握して、解く問題と解かない問題の取捨選択を行う必要があります。検査が始まった際にざっとでよいので問題全体を把握し、解く順番や時間を決めておきましょう。洛北附中の算数では各大問の最終問題、特に立体図形の最終問題が難しい傾向にあります。難しすぎると判断した問題については思い切って飛ばし、より解けそうな問題に取り組んだり、見直しをする時間を作ったりと、より確実に得点することを心がけましょう。

2.今年の傾向


今年度の適性をみる検査Ⅲ算数分野では、大きな変化として、すべての大問が京都府立共通問題になったことがあげられます。昨年度までは、大問5題中3問は洛北附中の独自問題でしたが、今年度は大問5題すべてが共通問題でした。小問数は17問であり、昨年度に続き例年通りでしたが、分量については大問4が2ページから1ページになったことで全体として減少しています。このため、総じて易化傾向であったと考えられます。合格点も例年より高くなりました。出題分野については、例年通りの作図、立体図形、約数・倍数に加え、規則性の問題や速さの問題となりました。
今年度の問題は大問4が少々難しいことを除けば、比較的簡単な問題が多く、特に、大問5の立体問題は昨年度にもまして簡単になっています。また、各大問の小問1では、基本的な計算力を問われる問題が多く出題されており、例年よりもその比重が増しています。そのためか、必要な力の3つ目である「戦略を立てる力」の重要度が少し低くなり、その分1つ目の「規則やルールを、自分で手を動かして理解する力」の重要度が増しました。各大問の最終問題も、難易度は高いものの手を動かし書き出せば解答へ至ることが可能です。
新傾向として挙げられるのは、各分野の出題のされ方です。例年は大問ごとに出題分野が決まっていることが大半でしたが、今年度の問題では、大問内の各小問で出題分野が変わっている問題が多く見られます。例えば、大問5の立体図形の問題では、前半は本質的に立体図形とは無関係な問題になっており、大問1では、速さの問題なのは初めだけで後半は因数分解についての問題になっていました。来年度以降も同様の傾向が続くとすれば、今後の受検生には、前の小問の題材にとらわれずに問われている内容を的確に判断する力が要求されていくでしょう。


3.難易度について


例年の傾向として、適性をみる検査Ⅲの算数の難易度は高かったのですが、ここ数年は易化傾向でした。今年度はここ数年の易化傾向に加え、全ての大問が共通問題化された影響か、特に易化した問題が多くあり、合格点は例年に比べてかなり高かったと考えられます。

各問題の分析


大問1:直方体のプールの体積に関する問題


(1)直方体の体積を求める問題【易】
与えられたタテ・ヨコ・高さの条件から体積を求める問題であり、これまであまり見られなかった単純な計算問題になっています。優先度としては、問題文から数字を読み取るだけなので、必ず解けなければならない問題です。次の(2)以降の設問の導入になっているので、ここでの計算ミスは許されません。


(2)プールに一定の割合で水を入れ、満水になる時間を問う問題【易】
(1)で体積を求めたプールに一定の割合で水を入れ、いっぱいになるまでの時間を計算する問題でした。中学受検において、速さの問題は頻出ですが、共通問題であることを考慮しても、洛北附中でここまで単純な出題はあまり見られません。新傾向といえるでしょう。単位の換算によって少々難しくなってはいますが、問題の難易度は例年の(1)で出題される問題程度です。(1)(2)合わせて必ず正解してほしい問題でした。


(3)立方体の辺の長さの問題に見せかけた、因数分解の問題【標準】
(1)で求めたプールの体積と等しい体積を持つ立方体の一辺の長さを求める問題です。問題の本質は(1)の解である512を3つの等しい数の積に分解出来るかどうか。このことを考えると、洛北附中では頻出の因数分解の問題といえます。因数分解の問題は2年に一度のペースで出題される頻出問題です。優先度としては、できれば正解してほしい問題といえるでしょう。難易度は高くないので、十分な「試行力」さえあれば解くことは難しくありません。


(4)円柱の体積に関する問題に見せかけた、因数分解の問題【やや難】
471の体積を持った円柱の半径と高さを求める問題です。長さは整数という条件があります。(3)と同様、因数分解に関する問題なので、洛北附中では頻出です。円柱の体積である471を3.14で割ってみることを思いつけた受検生にとっては、標準程度の難易度になるのでそのまま解き切ってほしい問題です。他の方法で時間内に解答するのは難しいので、思いつかなかったら悩まず飛ばしてほしい問題です。

大問2:大小の円が接しながら回転する問題


(1)半径が与えられた円の円周の長さを求める問題【易】
問題文で半径の長さを与えられた2円のそれぞれの円周の長さを計算する問題です。例年、ここまで基本的な計算問題がでることは少なく、新傾向といえます。しかし、難易度としてはかなり易しいので確実に正解してほしい問題です。直径・半径の取り違いには気を付けましょう。


(2)小円が2回転した後の位置を求める問題【やや易】
滑らずに転がる円の移動距離が円周の長さと回転数に比例することを利用して、回転後の小円が大円のどの位置にあるのかを求めます。解答には、大円の円周を4等分した区間①~④を使用します。正答するためには、小円の移動距離と大円の区間の長さの長短を比較する必要があります。こういった数字の大小比較は洛北附中では2、3年に一度は出ている頻出問題です。しかし、円が回転した場合の移動距離に関してはここ数年出ておらず、全体としては、頻出問題に新傾向を組み合わせてきた、といえるでしょう。また解答の優先度に関してですが、この問題の正誤は以降の小問へ影響しないため、(1)に比べてやや優先度は低いです。ですが、難易度は高くないのでここでしっかり正解しておいてほしい問題ではあります。


(3)回転する小円が元の位置に戻るために必要な回転数を求める問題【やや易】
表題の通り、小円がはじめて元の位置に戻る場合の回転数を計算する問題です。解答するためには、円周の長さをそのまま用いず、長さの比に変えることで、最小公倍数の考え方を使えるようにする必要があります。倍数約数の問題は洛北附中で頻出なのでしっかり対策したうえで解けてほしい問題です。問題のポイントである実際の長さを比に変更するといった部分は、洛北附中ではあまり出題されていませんが、洛ゼミの通常授業で扱う内容なので、覚えていた受検生にとっては易しい問題に感じられたでしょう。


(4)小円が50回転したときの位置を文章や式を用いて説明する問題【やや難】
今年の洛北附中の算数の中で唯一の記述問題です。解答には、大円の円周を4等分した区間①~④の記号と、その記号を選んだ理由を記述します。このように解答の根拠を記述せるタイプの問題は頻出であり、解答枠の大きさに違いはあれど毎年出題されています。また解答枠の大きさに関してはここ2年連続で大きめのものが用意されています。(2)(3)を誘導として考えれば比較的容易に解くことができ、この場合は標準程度の難易度といえます。しかし、この問題を単体としてとらえて解こうとすると時間内に記述部分を書き切るのは少々難しいでしょう。一度飛ばしてから、最後に解くのがよいと考えます。

大問3:六角形の紙を折り曲げ、切断する問題


(1)折り曲げ、切断した後の紙を広げ直し、その形状を答える問題【やや易】
正六角形の紙を対角線に沿って折り曲げ、正三角形にしたあと、頂点を切断した。この時の小さい側の紙(操作によりできた三角形)を広げた図形の名称を回答する問題です。このような、平面図形の折り曲げと切断という内容は、H29年度の[2]に初めて出題された問題であり、全体で見れば新傾向が定着してきている過程なのではないかと考えられます。この問題を解くうえで、折り曲げなので線対称…と考えてはいけません。この問題では線対称ではなく、同一形状、同一の折り目であることに注目して、元の大きな正六角形と同じ形である思いつく必要があるため、難易度はやや易といえます。


(2)コンパスを用いて、見本をもとに等脚台形を作図する問題【やや難】
見本となる正三角形と、台形の底辺が記入用紙に書かれており、それをもとに、台形を作図します。見本の正三角形と台形を組み合わせたときに正三角形になるのが条件となります。このようなコンパスを用いて作図をさせる問題は洛北附中ではかなり頻出です。内容は毎年変わりますが、特定図形の作図という点で昨年度の問題と同じになっています。小学校のカリキュラムには台形の作図はないため、その状態で回答するにはある程度の発想が必要になり難しい問題といえます。しかし、昨年度の洛ゼミにおいて洛北・西京テーマ別特訓で作図の講座を受けた受検生や他の場所で講義を受けたことがある受検生には標準程度の問題に感じられたでしょう。

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(3)切断によってできた台形の面積を求める問題【やや易】
大きな正三角形を切断して、辺の長さが1/3の小さな正三角形と等脚台形に分けた場合の面積の関係を考える問題です。小さな正三角形の面積が与えられており、それに対する台形の面積を答えます。作図の問題とそれに関係する数値の問題は頻出です。ただし、今回のように図形の比を利用することで答えられる問題はなかなか見ません。解答するうえでは、三角形の比を利用する、または、大きな三角形を分割するという2通りの考え方がありますが、どちらかは思いついて正解してほしい難易度です。先の(2)の作図より高い優先度で解いてもらいたいです。似た問題は、過去の公立校入試問題や洛ゼミの教材で扱っていたので、対策を行っていれば訳なく発想出来たと思います。


(4)元の正六角形の面積を求める問題【やや難】
(3)と似ていますが、次は、切断でできた台形の面積が与えられた状態で、元の正六角形の面積を答える問題です。前の小問の考えを利用して解く問題であり、洛北附中や西京附中を問わず受検では頻出の問題です。しかし、前の小問を利用する前提なので、解答までの手順が多くなり難易度は上がります。算数が得意な受検生であれば差をつけるために取っておきたい問題だといえるでしょう。


大問4:階段の異なる登り方、下り方


(1)2秒間に1段上がるときに、800段を登るのにかかる時間【易】
かかった時間を秒数で求め、それを分に換算する問題でした。洛北附中の速さの問題の(1)は秒を分に換算する問題が頻出です。非常に簡単な計算で求まり、秒を分に換算する問題も過去問や洛ゼミでかなりの演習を積んでいるはずなので、必ず正解したい問題でした。洛北附中の過去問ではより条件が複雑な問題が出ていますが、今年度は条件が比較的平易なものでした。


(2)3つの条件のうち、どの登り方が一番速いのかを求める問題【標準】
3つの登り方についてそれぞれ明確な時間を求めないと、解くことができない問題でした。異なる条件の下で、計算をする問題は頻出の問題です。比較する問題は計算量が多くなりがちですが、今回の場合、計算しやすいように条件が設定されているので、時間がかかりすぎるということはありませんでした。ですので、きちんと計算できれば、例年通りの難易度の問題でした。条件が異なるとき、かかる時間の差に注目する問題は計算力に依存するので、演習量が求められた問題でした。


(3)指定された方法で階段を降り、休憩時間の総和を求める問題①【標準】
800段を降るまでに休憩した時間を求める問題でした。洛北附中では数列の問題がよく出題されるので、今回の問題を休む総時間に注目して、その規則性に気づくことができれば解くことができた問題でした。休む時間がどのように増えていくかを実際に書き出し、休憩後に降りる段数の2倍から1を引いた数が次の休憩時間の総和になることに気づくことが求められた問題でした。洛ゼミでは普段から、基礎が固まった後の演習で規則性の問題の演習を徹底しています。決して簡単ではありませんが、そのように演習をしっかり行っていた受検生には解くことの出来るよい問題でした。


(4)指定された方法で階段を降り、休憩時間の総和を求める問題②【難】
800段を降るまでに休憩した時間を求める問題でした。洛北附中の最終問題は決まった解き方がない問題も多く、その問題の一つでした。ある程度のかかる時間を予測し、あとは目標値に合わせて少しずつ近づけていくことで解くことができますが、実際に解くとなると非常に時間のかかる問題ですので、本番では殆ど差がつかない問題でした。今年度の洛北附中の問題は易しめの問題が多かったので、他の問題に時間をかけた方がより高得点につなげることができ、これは捨て問と判断して時間を空費しないことが求められる問題でした。効率的な解法がなく、直感に一存する問題でした。受検生が解くには非常に難しい問題でしたが、洛北附中が直感の冴えた受検生や、捨て問と見抜き状況判断が出来る受検生を求めていることが伝わる問題でした。

大問5:ルービックキューブをテーマとした立方体積み上げ問題


(1)白黒の立方体の並びから、規則をもとに数値を答える問題【やや易】
与えられた図形を、複数の規則に忠実に当てはめて数字を答える問題でした。このような立体図形と規則が複合された問題は洛北附中では頻出です。当てはめるべき規則が多いこと、答えるべき数が3つあることがら、(1)としては少々難しめの問題ではありますが、きちんと平面図を描きながら解くということが身についていれば、時間がかかるだけの易しい問題です。ぜひ正答してほしい問題でした。


(2)与えられた条件の中で最も値が大きくなる立方体の並びを考える【標準】
(1)とは逆に、立方体の並びについて条件が課された状態で、最も数値が大きくなる並びを考え、その時の値を答える問題です。(1)に引き続き、洛北附中では頻出といえます。課された条件にあてはまる並びの立方体をすべて描きだすことが出来れば、しっかり得点できました。描き出せたかどうかで差がついた問題だといえるでしょう。


(3)与えられた条件を満たすような並びの場合の数を求める問題【やや難】
(2)と異なる形で与えられた条件を満たすような立方体の並びを見つけ、その場合の数を答えます。(1)に引き続き、洛北附中では頻出といえます。あり得る数値の条件に早期に気づき、考える量を減らすことが出来れば現実的な時間で解くことが出来るでしょう。しかし、そうでなければ時間がかかりすぎてしまうでしょう。正答出来れば他と差をつけられる問題でした。


(4)ルービックキューブの様に3×3×3の立方体を回転させた場合【標準】
新しく増えた規則に当てはめ、立方体の並びから数値を答える問題です。洛北附中の立体の問題らしく、今年度も後半から条件や規則が増えました。(2)と同じく、条件や規則に忠実に当てはめていくだけで答えが出るので、(3)を飛ばしてでも解いてもらいたかった問題です。洛北附中の場合、このように小問を飛ばしても、次の小問が解ける場合は少なくありません。


(5)増えた規則の中で値として考えられるものをすべて答える問題【難】
(4)以降で増えた規則の中で、考えられる数値をすべて答える問題です。最終問題ですが、洛北附中らしく複雑な見た目の問題です。ですが、考えなければならない部分はそこまで多くなく、自分で条件を絞ったうえで書き出すことで答えを出すことが出来ました。時間がかかりすぎる点を考慮すれば本番での差はほとんどつかなかった問題だったと考えられます。

必要な力と対策


本項では、§1の概要の中で述べた「洛北附中の算数で問われている3つの力」に沿って、必要な対策を確認していきます。


①規則やルールを、自分で手を動かして理解する力


洛北附中で出題される問題では、必ずといっていいほど、受検生にとってなじみのない規則や操作が出てきます。そういった規則を正しく理解し活用することが、入試問題で十分な得点をとるために必須になります。では、規則を理解するためには何が必要でしょうか。第一には、その規則の説明をきちんと読むことです。しかし、多くの場合では説明を読むだけで理解するというのは非常に難しいことです。そこで大事になるのは、問題を解くときに、脳と手が同時に止まっている瞬間を作らないようにすることです。多くの受検生は洛北型算数の勉強の際、「考えているようで、途方に暮れているだけ」の時間を過ごしてしまいがちです。文章を読んで、わからない、と思考停止しそうになったときは、手を動かして規則を書きだしてみましょう。何を書いたらいいかわからないようなときは、その問題に10分20分と時間を使うのではなく、解説の一部分のみを見て、次にすることを確認し、なぜそのような解き方・考え方をするのかについて思考しましょう。日ごろの勉強から「止まらない」を意識して能動的に学習していくと良いでしょう。洛ゼミでは、以上の考えを思考力と試行力と題して基本理念として扱っています。

 

②与えられた条件を、わかりやすく整理する力


公立中の問題では、問題文が長いため、必要な条件を抜き出し、分かりやすく整理する力が必要となります。この場合の「整理」とは、具体的に条件をもとに図や表を書くこと、問題文の大切な部分に線を引くなどの解くうえでの工夫が含まれます。このような力はしっかりと意識さえすれば身につきやすい力です。一方で、図や表は本気を出せばすぐにかけると思ってしまい、この力が身につかないまま本番を迎えてしまう受検生がいるのも事実です。早速今日から、家庭学習やテストの際に意識して取り組んでいきましょう。いきなり図や表にまとめるのは難しい、と感じる人は、まずは問題文の大事な部分に線を引き、解説に書いてある内容と照らし合わせ、自分が大事だと思った場所があっているか確認しましょう。さらに、次のステップとして、丸付けをする際に、答えだけを気にするのではなく、解説もしっかりと読みこみ、なぜ解説にこの図や表が使われているのか、自分は使えたのかをしっかりと一問一問確認していきましょう。


③戦略を立てて取り組む力


洛北附中の算数では、それぞれの問題ごとの難易度が大きく異なっているのが例年の傾向です。今年度の問題も全体的に易化したとはいえ、依然難易度の差は残っており、時間内に十分な点数を取るためには、問題に取り組む順番や、飛ばすべき問題を意識しながら検査に挑まなくてはなりませんでした。こうした、検査のための戦略を立てるという能力は、すぐに身につくものではありません。戦略を立てるために具体的に必要となるのは、自分の得意不得意の把握、問題文から問われている能力を読み取る力、解答するまでにかかる時間を予想する力、問題を飛ばす心の余裕、等々です。前の2つは、日常の勉強によって身に着けることが可能です。丸付けをするときなどに、今解いた問題はどういう内容で、何が難しかったのかについて考えることを習慣づけましょう。しかし、どんなに日ごろから難易度について意識していても、ただ勉強しているだけでは後の2つの力は付きません。後の2つの能力を付けるためには、実際に本番と同じ形式で大問を解く順番を決めて解き始め、解いている間も経過時間を意識し、時間がかかりすぎる問題は飛ばし…といった練習をする必要があります。初めてのことよりも慣れたことをする方が心に余裕を持てますし、時間を意識して解くことで、各問に対し時間という評価軸を増やすことが出来るようになります。こういった練習のために、洛ゼミでは本番さながらに行う模試型実践演習のプラクティス実際の出題形式と同じ直前演習講座を用意し、その中の解説授業を通じて解答戦略をお伝えしています。

→模試型実践演習「プラクティス」に関する詳細は【こちら】から。

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④新傾向への対策


最後に新傾向について。§1でも述べましたが、今年度の洛北附中では全ての大問が共通問題になりました。その影響もあり、より基本的な算数の能力を問う問題が増加しました。問題がかんたんになり、平均点が上がるということは「ケアレスミスによる差がつきやすくなる」ということだ、ということは十分留意しておきましょう。日頃から問題をミスなく解くことにこだわった演習を重ねることが極めて重要です。受検本番は、小学生にとっては大きすぎるほどのプレッシャーを抱えて問題に挑むことになります。そういった極限の心理状況下でも、確実に正答できる問題を正答する力が、これまで以上に求められていることになります。