
本記事は洛北・西京附中対策専門塾「洛ゼミ」による洛北附中(洛北高校附属中・洛北中)の2020年入試 理科の問題別分析です。
難易度や解くのに必要な力について各問題ごとに分析しています。
大問2 オリンピックをテーマにした小問集合
(1)各種ボールを落とした高さと跳ね返った高さ【やや易】
Ⅰはグラフに記入する問題、Ⅱは表の読み取りの問題です。洛北附中では頻出の、グラフ・表読み取りに関する問題でした。Ⅰに関して、表の数値からグラフとボールの対応関係が明確で、表の通りに記入するだけなので、是非とも得点したい問題でした。また、Ⅱは、表の内容から計算する必要があり一見すると難しそうですが、間違いの選択肢は単純な計算ですぐに判断でき、またグラフを利用することもできるため比較的やりやすい問題でした。
(2)長時間自転車で移動する間にできる影の位置【やや易】
3つの空欄に入る言葉の組み合わせを考える選択式の問題です。全ての空欄が合っていないと得点できない問題ですが、このような形式はよく出題されています。問題文から設定を読み取るのが比較的難しいですが、それさえ掴めれば後は教科書レベルの「太陽の位置」に関する問題となっており、基本的な知識があれば解答できるものでした。また、問題文の読み取りそのものも洛北附中の出題としては平易で、全体として得点しやすい小問となっています。
(3)照らされる範囲と温まりやすさ【易】
(1)(2)と続いて、選択式の問題です。図から問題の状況を把握し、解答する問題でした。特に複雑な条件や設定はなく、小学理科の知識がなくても解ける可能性のある問題です。問題文の長さに惑わされず、図からしっかりと情報を読み取りましょう。
(4)金、銀、銅の密度に関する問題【やや難】
(1)のⅡと同様、計算を行ない、正しい選択肢を選ぶ問題です。密度という未知の概念を、問題文・表の手がかりから使いこなせるかを試す問題で、範囲外のことでも知識ではなく問題設定として出題することで受検生の思考力を問う、洛北附中らしい問題でした。大問2の中ではもっとも解答しにくい問題だったのではないでしょうか。重さと体積の関係を計算・正誤判定するうちに混同してしまい、混乱して時間を消費してしまった受験生もいたかと思います。ただし、間違いの選択肢は例年の難易度と比較するとわかりやすく、他の問題を素早く解いて時間にゆとりを持たせた受検生ならば、余裕を持って答えられたと思います。高得点勝負になったであろう検査Ⅱにおいて、数少ない差のついた問題だったのではないでしょうか。
(5)フナの呼吸法に関する問題【易】
理由説明の問題です。洛北附中では頻出となっています。小問名から分かる通り、魚がエラ呼吸することを答える問題です。それを知らなければ解答できませんが、本番の受検生でそれを知らなかったのは少数派だと思われます。確かに、生物の呼吸について問われることは受検ではマイナーな分野かもしれません。ただ、理科はあくまで受検のために存在しているお勉強ではなく、現実の事象を考察するための学問なのです。受検生の皆さんは、全ての問題が現実をモデルにして作られている(仮想の世界で知識をこねくり回している訳でない)ことを忘れないでください。そうすれば、このような問題で誤答することはないと思います。
「富岡製糸場と絹産業遺産群」に関する小問集合
(6)アルミニウムと鉄の区別【標準】
目的のための実験方法を説明する記述問題です。非常に洛北附中らしい問題です。記述式という形式上、比較的手をつきにくい問題となっています。しかし、テーマ自体は非常に有名なもので、一度は解いたことのある受験生がほとんどだったのではないでしょうか。満点を狙うのは容易ではありませんが、できれば空欄は避けたい問題でした。このような問題では、「おおよその答えの検討はつくけれど、どこまで書けばよいか分からない」となって困惑する受検生が多くみられます。今回の問題では何を書けば良いかが具体的に指定されており、例年の記述問題よりも解答しやすくなっています。
(7)カイコの育ち方【やや易】
空欄補充の問題です。洛北附中では毎年みられるものとなっています。一見すると空欄が多くたくさんの知識を問われていそうですが、実際は教科書レベルの生物の知識で全て解答でき、かつ最後の空欄に至っては問題文を読むだけで簡単に答えが分かるものでした。ぜひとも得点したい問題です。
(8)クワの葉の気孔に関する計算問題【やや難】
気孔の数に関する計算問題です。比較的複雑であり、算数の力も必要とされる問題でした。資料の情報を満遍なく応用して正しく計算しきる必要のある問題で、総合力が試されました。こちらも大問2の(4)同様、差がついた問題だと思われます。