【洛北附中 算数】2020年入試_各問題分析

2020年06月24日
小学生向け 学校/入試情報

本記事は洛北・西京附中対策専門塾「洛ゼミ」による洛北附中(洛北高校附属中・洛北中)の2020年入試 算数の問題別分析です。

難易度や解くのに必要な力について各問題ごとに分析しています。

 

大問1 トラックを走るタイムについて

(1)文章を読み取り空欄にあてはまる数値を計算する【易】

空欄アは倍率ともとになる数値から問われている数値を計算し、空欄イは2つの数値から倍率を計算する問題でした。洛北の共通問題としては例年通りの基本的な出題と言えるでしょう。倍率を利用するという基本的な内容であり、特殊な問われ方をしているわけでもないため、必ず正答してほしい問題でした。

 

(2)タイムの合計を計算する【やや易】

表の数値のうち、問われているものを選択し総和をとる問題でした。(1)に引き続き例年通りの標準的な出題と言えるでしょう。問題文を焦らずに読み解ければ容易に解答できる問題ではありますが、表からの読み取りや4つの小数の足し算など、受験生にとってケアレスミスが頻出する部分でした。以上を考慮し難易度はやや易としました。

 

(3)合計タイムが最速になるような走順を求める【標準】

5人の走者から、合計タイムが最速になるように4人選び走順を決める問題でした。数字を最大最小化する問題は頻出です。多くの受験生が対策をしていたと思います。この問題についても問題文を読み飛ばさずきちんと把握していれば問題なく解けたでしょう。標準的受検生には完答してほしい問題です。

 

大問2 値引きシールセットを題材とした割合の問題

(1)割合計算の基本【易】

15%引き1つ、40円引き1つ、定価3つの合計金額を求める問題でした。問われている能力としては割合の計算と足し算引き算のみで非常に基本的な問題でした。ここまで単純な割合の計算問題は3年ぶりの出題でした。題材が値引きという日常的なものであることも踏まえ、必ず解けてほしい問題と言えます。

 

(2)8%引きと20円引きが等しい額になるような金額を求め、説明する【やや難】

値引き後の値段が1/10の位で切り捨てられることを考慮して、8%引き後と20円引き語の値段が等しくなるような金額の範囲を求める問題でした。割合について学習をきちんとしてきた標準的な受験生にとっては、数値を求めること自体は可能な問題であったでしょう。しかし、数値の根拠をわかりやすく書くという点が難しいと予想されるため、難易度はやや難としました。

 

(3)値引きシールの組み合わせによって金額の最小化を目指す【やや難】

複数の商品を購入する中で、〇%引きのシールをどの商品に張った場合に金額が最小になるのかを問われた問題でした。数値の最大化最小化を問う問題は洛北府中に限らず頻出の分野です。割合で値引きされる場合は元の値段が大きいほど値引き額は大きくなるという事実を用いて、丁寧に計算を行えば解くこと自体は可能な問題だと言えます。しかし、試検という限られた時間ないでミスなく解き切るというのは難しかったと考えられます。この点を考慮し難易度はやや難です。

 

大問3 有名直角三角形を題材とした作図と比の問題

(1)指示文章をもとにした作図【標準】

三角定規を用いて60度、15度、90度を作図する問題です。角度を指示される出題は洛北府中としては頻出です。なれない言い回しが登場しますが、落ち着いて読み取れば難しくはありません。標準的な受検生であれば完答してほしい問題でした。

 

(2)作図した図と与えられた図をもとにして2辺の比を求める【やや難】

有名直角三角形の各辺の長さの例が与えられており、その値を参考にして作図した2辺の長さの比を答える問題です中学レベルの発展的な題材に対して、補足情報を与えることで受検問題とするタイプの出題は洛北府中と西京府中では頻出です。与えられた図の向きを変えて組み合わせることで作図した図と同様の形ができるため、複雑な計算を要求されているわけではありません。そのため合格層の受検生には溶けてほしい問題です。

 

(3)作図した図に与えられた長さをあてはめて辺の長さを求める【難】

(2)では辺の長さの比を考えましたが、さらに1辺の長さが与えられた状況で問われた辺の長さを答える問題です。作図に関連した少々複雑な計算問題という点では例年通りの出題だったと言えるでしょう。完答に至るまで複雑な計算を複数回要求される問題であり、難易度はかなり高かったと考えれらます。時間に余裕のない限り手を出さず、別の問題に時間を使うべきでしょう。

 

大問4 貯金額を題材とした数の組み合わせを推論する問題

(1)会話を読み取り空欄にあてはまる数値を計算する【易】

貯金箱の合計の重さと貯金箱のみの重さから中身の重さを求める問題です。単に会話文に登場した数値を引き算するだけなので、必ず解けてほしい問題でした。このように計算自体は容易な問を通して、文章をきちんと読めているかどうかを確認する問題は洛北附中や西京附中の長文問題では頻出です。

 

(2)100円玉の枚数の候補を文章で表現する【標準】

100円玉と500円玉の合計重量とそれぞれの1枚ずつの重量がわかっている状況で、合計重量の下1桁の値に着目することで、100円玉の枚数について候補が考えられることを説明する問題です。ある数字の下一桁の値に着目させるような問題はこれまで西京附中や公立中での受検問題として出てきました。同様の問題は洛ゼミのカリキュラムでも扱っており、きちんと学習をしてきた標準的な受検生には解けてほしい問題です。

 

(3)複数の条件をすべて満たす枚数の組み合わせを求める【難】

(2)で求めた100円玉の枚数の候補と500円玉の重量を考慮して、それぞれの硬貨の枚数を整数で求める問題です。このような枚数/個数の組み合わせる問題は洛北附中西京附中問わず頻出です。そのため多くの受検生にとっては解いた経験のある問題だったと考えられますが、解答に至るまでに処理すべき事項の多さを考慮して難易度は難としました。表をうまく活用できたかどうかが完答への分かれ道になったでしょう。

 

大問5 箱の各辺の長さと体積を題材とした場合の数の問題

(1)図を読み取りに空欄にあてはまる長さや体積を計算する【易】

図示された箱型の立体の各辺の長さを読み取り、問われた長さや体積を計算する問題です。洛北府中の例年の傾向である立方体の積み上げを離れ、箱という題材での出題になりました。過去問を十分にこなしてきた受検生にはかえってなれない型式だったかもしれませんが、1つ1つの計算は難しくなく問題文も平易だったことから完答も容易な問題と言えます。数値の読み取りミスには気を付けましょう。

 

(2)箱の容積が最大になるような板の配置を図示する【難】

既定の底板に対して、容積が最大になるように側板を配置し、その配置を図示する問題です。立体問題において最大最小を問う形式は過去多く出題されています。しかし、この(2)では最大になる根拠を理論立てて説明しづらく、時間をかけてしまった受検生や、あきらめてしまった受検生が多かったかもしれません。先に(3)を解いて、容積として考えられるものを総当たりした方が、根拠を持って楽に解けたと思います。こういった「ある程度あたりを付けてから総当たり」することでしか最大最小が求まらない問題はよく出題されるので、次年度以降の受検生は要チェックです。

 

(3)箱の容積として考えられる数値を全て列挙する【やや難】

底板に対して側板を配置することで作ることができる箱の容積として考えれらるものを全て答える問題です。この問題では、各辺の長さの候補が2,3通りしかないことに気づけば、一旦全パターンを書き出すことで解答できるものでした。いきなり容積を計算して考えてしまった受検生にとっては方針が立たず、非常に難しい問題に見えたでしょう。容積ではなく3辺の長さのパターンに着目し、場合の数の考え方に思考をシフトすることが肝要となる問題でした。こういった立体と場合の数の融合問題は洛北附中西京附中では頻出ですので、どんな形で出ても焦らないように対策が重要です。