
この記事では、2020年西京高校附属中(西京附中・西京高附中)での算数の出題について難度や新傾向についてお伝えします。
大問1 2つ小学校における英語と算数の好き嫌いのアンケート調査
(1)割合から円グラフのおうぎ形の中心角を求める問題【やや易】
割合から円グラフのおうぎ形の中心角を求める計算問題です。西京附中において、割合・グラフは毎年出される問題ですが、円グラフの中心角の大きさを求めさせる問題は例年とは異なるアプローチでした。教科書知識で解くことができる基礎的な計算問題のため、ぜひ解けてほしい問題でした。
(2)グラフ・表を読み取り選択肢から正しいものを選ぶ問題【標準】
表とグラフを読み取り、選択肢の中から正しいものをすべて選ぶ問題です。基本的な割合の知識を確認する問題でした。西京附中では度々出題されるグラフと表の読み取り正誤問題です。グラフや表から必要な条件を抽出することで、正しい選択肢を選ぶ問題です。正しいものが複数あるため、すべての選択肢の正誤を確認する必要がありますが、基本的な割合の知識と計算を利用すれば解ける問題でした。
(3)グラフ・表を読み取り空らんに当てはまる文章を選ぶ問題【易】
(2)と同様に、グラフを読み取る問題です。(2)と同様に、西京附中では頻出の問題です。2つの空らんに、3つの選択肢から当てはまるものをいれればよいので、(2)に比べるとかなり読み取りのしやすい問題です。必ず正解してほしい問題でした。
(4)A小学校で国語が好きと答えた人数を求める問題【標準】
文章中に与えられた割合や人数の条件をもとに、計算する問題です。西京附中の算数では、与えられた条件から必要な情報を読み取る力が試されます。この問題は文章中の条件の読みとり、情報の抽出が必要であり、西京附中らしい問題でした。「A小学校、B小学校それぞれの国語が好きな人数の割合が同じである」条件をもとに、比を利用することで簡単に求めることができます。この比の利用ができるかどうかが、得点を分ける問題となりました。
大問2 図形を敷き詰める問題
(1)敷き詰めることのできる図形を選ぶ問題【やや難】
選択肢の5種類の図形のうち、敷き詰めることが可能なものをすべて選ぶ選択問題です。西京附中では、規則性を見つける問題は例年出ていますが、このような平面図形での出題は受検生にとっても新しかったかもしれません。台形・平行四辺形・丸は、敷き詰められるかは容易に考えられるかと思いますが、正八角形や特に凹四角形の敷き詰めに関して判別するのに苦労するかと思います。この場合、図形の角度に注目し、敷き詰められる図形の規則を捉えることで解くことができます。ここに気づけるかが得点を分ける問題になりました。
(2)三角形の敷き詰め問題から出た意見のうち正しいものをすべて選ぶ問題【易】
三角形の敷き詰め問題から導き出した意見である選択肢のうち、正誤を判断し正しいものを選ぶ問題です。割合・グラフでは頻出の、文章・図・グラフから条件を読み取る問題です。H30年度の平面図形問題で、似た形式で意見の読み取り問題が出ており、西京附中らしい問題です。(2)で正しいものをすべて選べなかった受験生も、この問題は必ず正解したい問題でした。
(3)台形を敷き詰めた図形の黒い部分の面積を求める問題【標準】
図に示された黒色の部分の面積を求める計算問題です。単なる計算問題ではなく、与えられた情報から規則性を見つけ、計算の筋道を立てる問題です。立体図形の計算問題では頻出の形式が今年度は平面図形でも見られました。基本的な図形の計算問題です。面積の公式を利用するのはもちろん、図の特徴・規則性を読み取ることができれば、時間をかけることなく解くことができ、他の問題に時間を当てることができる問題でした。
(4)示された図形を敷き詰めた図形の黒い部分の面積を求める問題【やや難】
(3)と同様に、図に示された黒色の部分の面積を求める計算問題です。昨年度の立体図形の問題で、表面積を求める問題がありましたが、例年と比べ、今年度は少し複雑な面積計算の問題が比較的多かったように思われます。(3)と異なり、図形が複雑なため、難しく感じる問題ですが、図形Dの面積が正方形と等しくなることに気づくことができれば、図形Ⅱの黒い部分に含まれる図形Dの個数を求め、簡単な計算式で求めることができます。ここに気がつけるかが、素早く処理できるかどうかのカギとなる問題でした。
(5)敷き詰めることのできる五角形の形を説明する問題【難】
敷き詰めることのできる五角形を図示し、さらに図の特徴を説明する問題です。記述式の問題は西京附中で頻出の問題であり、例年同様に難易度の高い問題でした。大問2の(1),(2)から導き出された答えを手がかりとすることで敷き詰めることのできる五角形の形を予測することができます。この問題では、さらに図形の特徴を説明しなくてはならず、解ききるのは難しい問題であると思われます。
大問3 グラフを利用した速さの問題
(1)お姉さんの走る速さをもとめる問題【易】
グラフから時間・道のりを読み取り、速さをもとめる問題です。グラフを利用する速さの問題では頻出の問題です。大問3を解き進めるうえで、登場人物の速さをもとめることは非常に重要になっており、残りの問題を解けるかどうかに大きく関わるため、必ず正解したい問題でした。速さのグラフを読み取るときのポイントは、洛ゼミの通常講座やテーマ別特訓のテキストでも扱っておりました。
(2)京子さんの歩く速さをもとめる問題【易】
(1)と同様に、グラフから時間・道のりを読み取り、速さをもとめる問題です。(1)でもとめた速さを利用することで新たに分かる値を用いてもとめる問題です。グラフの各ポイントにおける登場人物の状況をよく整理できていれば、(1)と同様に比較的簡単に解ける問題でした。
(3)京子さんが忘れ物に気付いた位置をもとめる問題【やや難】
(1)と(2)でもとめた速さや、問題では問われていない他の速さを利用してもとめる問題です。この問題では、グラフから登場人物の動きを正確に整理するのが非常に難しい問題になっていました。そのため、グラフの数字を利用すればもとめることができた(1)(2)とは違い、(3)以降は正解にたどり着くのが困難な問題になっていました。(3)は、グラフの縦軸と横軸の値と、登場人物の状況を整理することができれば比較的単純な計算でもとめることができたため、差がつく問題となりました。
(4)京子さんが学校に着く時間に関する問題【難】
それまでにもとめた数を利用し、グラフには与えられていない数をもとめる問題でした。問題文には家から学校までの距離がかかれていないことから、戸惑う受検生もいたと考えられます。今回の問題では、二人の人物が家から学校まで行く間の過程についての問題であるのに対し、グラフの縦軸は”家からの距離(学校までの距離)”ではなく”進んだ距離”となっているため、整理するのが非常に難しい問題になっていたと思います。速さの問題が苦手な人は、飛ばして次の大問に進んでよい問題でした。
(5)お姉さんが京子さんを追い越す時間に関する問題【難】
それまでにもとめた数を利用し、グラフには与えられていない数をもとめる問題でした。(4)までの問題を解くことのできた人であれば、正解を目指してもよい問題でした。問題自体の難易度は高くないのですが、問題を解くために必要な情報を正確に得ることが難しく、(1)~(4)の間で少しでも間違いが含まれていれば、正解するのは困難な問題だったと言えます。速さが得意で、(4)まで解けた人には是非解けて欲しい問題であり、苦手な人は(4)と同様飛ばして良い問題でした。
大問4 立方体の展開図に関する問題
(1)立方体に入れられた切込みから展開図をもとめる問題【やや易】
切込みを入れられた立方体をもとに、正しい展開図を選択する問題でした。西京附中では立方体を用いた問題がよく出題されています。昨年度は立体をずらして積み上げる問題であり、立方体を扱う問題の中でもあまり頻出ではない問題が続いているように考えられます。この問題では、立方体の図より、各面において切込みが入れられている辺の数に注目することで、正しい展開図を選ぶことができました。頭の中で想像するだけでは正解を選ぶことは難しい問題でした。しかし、大問4は小問ごとに問題は別になっているため、(1)を正解できなくても他の問題は解けるようになっていました。
(2)展開図をもとに切込みを完成させる問題【やや易】
立方体に書き込まれている一部の切込みと、展開図をもとに不足している切込みを補う問題でした。洛ゼミで教えている頂点マークを利用すれば比較的簡単に正解を導くことができる問題でした。立方体の向きと展開図の位置を照らし合わせるのが少しだけ難しい問題ではありましたが、是非正解してほしい問題でした。洛ゼミで日頃より教えている頂点マークを利用できるかが大問4の正答率に大きく関わったと考えられます。
(3)切込みの入った立方体をもとに展開図を完成させる問題【やや易】
立方体の辺だけではなく、対角線にも切込みが入れられていました。頻出の展開図の問題では、立方体の辺以外が切られることはあまりないため、生徒にとっては目新しい問題だったと言えます。しかし、こちらも頂点マークを利用することで比較的簡単に正解を導くことのできる問題となっていました。切込みの入っている対角線の向きも、頂点に注目することで正確に考えることができます。是非正解してほしい問題でした。
(4)切込みの入った立方体をもとに展開図を作成する問題【標準】
切込みの入った立方体をもとに、一から展開図を作成させる問題でした。展開図を作成する問題は洛ゼミでも良く扱っていますが、立方体の辺以外に切込みが入っている問題は頻出ではありません。こちらの問題も、頂点マークを利用することで比較的簡単に正解を導くことができます。切込みが多いため、頭の中だけで想像すると非常に困難な問題だったと思います。大問4は、頂点マークを利用できるかどうかで、大きく差をつけることができる問題でした。洛ゼミ生には是非とも全問正解してほしい問題だったと言えます。
大問5 9×9マスの盤で●を動かすプログラムについての問題
(1)プログラムの操作とその結果の確認問題【易】
簡単な操作の内容と、その操作による結果を問題文からもとめる問題です。例年、西京附中ではプログラムを用いた問題がよく出題されており、今年も同様に出題されました。東西南北を正確に理解していれば解くことができる、単純な確認問題でした。間違えても(2)以降に影響はありませんが、得点を稼ぐためにも必ず正解してほしい問題でした。
(2)プログラムとその結果より、●の最初の位置をもとめる問題【やや易】
合計10回からなるプログラムの内容と、その結果から●の最初の位置をもとめる問題でした。プログラムの問題では、最終的な結果と、使ったプログラムより最初の状態をもとめる問題は頻出になっています。合計10回のプログラムを一つずつ逆に戻っていくことで求めることのできる問題でした。逆に戻っていくため、東西南北の向きに注意することが必要ではありましたが、是非とも正解してほしい問題でした。
(3)会話文からプログラムを考察する問題【標準】
会話文より単純なプログラムを推測する穴埋め問題と、問題文の条件をみたすプログラムについて記述式で答える問題でした。例年、西京附中では算数や理科で記述式の問題が出題されることがあり、この問題では、条件を満たす答えとその理由を記述する問題になっていました。穴埋めの方は、会話文からヒントを読み取ることで比較的簡単にもとめることができるため、難易度としてはやや易と言えます。一方で、記述式の方では、求め方を聞かれるタイプの問題とは異なり、自分で求めた答えがどうして正しいのかを示す記述であったため、きちんと整理してかつ論理的に文章を構築する必要がありました。求め方を書く記述問題に比べ、少し得点しにくい記述だったと考えられます。
(4)問題文の条件をみたすプログラムが全部で何通りあるか求める問題【難】
盤上において、最初と最後の位置および操作の回数のみ与えられており、そこからプログラムを考える問題でした。例年出題されているプログラムを用いる問題では、今回の(4)と同様に、条件を満たすプログラムが全部で何通りあるかを考えさせられる問題が頻出となっています。このように全ての事象を数える問題は、時間をかければ正解にたどり着くことのできる問題となっており、他の問題を一通り解き終え、見直しもできたうえで、最後まで粘れる問題だと考えられます。問題冊子に載せられている盤を利用し、数え間違いのないようにしましょう。この問題も頭の中だけで解くことはとても難しいため、きちんと書いて整理する必要があります。