【西京附中 社会】2020年入試_各問題分析

2020年08月16日
小学生向け 学校/入試情報

本記事は洛北・西京附中対策専門塾「洛ゼミ」による西京附中(西京高校附属中・西京中)の2020年入試 社会の問題別分析です。

難易度や解くのに必要な力について各問題ごとに分析しています。

 

大問5 ブドウ生産を通じて日本及び世界の気候について問う問題

(1)少雨の季節を答える問題【標準】

瀬戸内地方及び中央高地で少雨となる季節を答える問題です。気候区分の特色を問う問題は頻出ですが、ため池の存在や水不足の発生といった情報を文中から読み取る必要がありました。瀬戸内地方は年間降水量が少ないという知識だけでは夏と冬の判断できず戸惑うところですが、文中に水不足に備えたため池が多いとの記述があり、これを読み取れれば解答することができるためできれば正解したい問題でした。なお、入試一週間前に行った「西京予想問題実践講座」にて類似問題を取り扱っています。

 

(2)瀬戸内地方の気候のメカニズムについての問題【易】

季節と資料中の地域の名称を説明文の穴埋めをする形で答える問題です。前述の通り気候区分を問う出題は頻出であり、説明文の空欄補充の形式での出題も西京附中では頻出です。中学入試で頻出かつ、日本地理の最重要分野である気候区分とそのメカニズムについて、基本的な知識を問う出題であり、必ず正解しなくてはならない問題です。なお、入試一週間前に行った「西京予想問題実践講座」にて全く同様の知識を扱う問題を取り扱っており、通常講座のテキストでも類似問題を扱っています。

 

(3)中央高地の気候の特徴と用水利用の関連性についての問題【標準】

瀬戸内地方と比べて中央高地にはため池が少ない理由を「冬」という言葉を使って答える記述問題です。
気候の特徴説明という点では基本的な問題ですが、中央高地での用水利用についての観点から考える必要がありました。ため池の多寡という新出の観点を問う問題でしたが、気候の特徴を問う問題に帰着できれば解答は可能な問題です。差がつく一問と言えるでしょう。用水利用については農業分野で扱います。気候分野と農林水産業分野リンクすることが多く、日本地理の学習について多角的に理解できているか問われます。

 

(4)ヨーロッパ地中海地域の気候について資料を選ぶ問題【やや難】

問題文及び資料を読み取り、与えられた雨温図から正しいものを選ぶ問題です。ここ数年の新傾向である世界地理分野からの出題です。資料問題としての出題は初めてでした。小学校のカリキュラムでは扱うことの少ない世界地理分野からの出題で、かつ資料の情報から必要な情報のみを抜き出し、雨温図の判読が必要となる問題でした。本番の受検生の正答率はあまり高くなかったと考えられます。世界の都市の雨温図は小学校のカリキュラムでは扱うことのない資料であり、雨温図に関する「基本的なの知識」と「資料読み取る力」が強く求められた問題でした。

 

 

大問6 通史的な日本史理解と文化財資料の判断について問う問題

(1)時代区分の順序及び特徴について問う問題【易】

会話文中に示される順序、及び問題資料と適する時代区分を与えられた選択肢の中から選ぶ問題です。特定のテーマに絞って時代区分や歴史的出来事の前後関係を問う問題はほぼ毎年出題されています。古代の日本の時代区分のうち、古墳時代と奈良時代を問うものです。両時代とも重要な歴史的出来事があり、前後の時代区分との区別も容易です。必ず正解したい問題でした。昨年度の西京附中プラクティスでは、複数回にわたって同様の形式にて歴史分野問題を出題しています。

 

(2)時代ごとの特徴が書かれた資料の整序問題【やや易】

各時代の特徴について書かれた資料を時代順に並べ替える問題でした。西京附中では通史的な時代区分を問う整序問題と、特定の時代における出来事の整序問題が出題される場合がありますが、今年度は前者に該当します。いずれも西京附中では頻出の形式です。古代から近世までの時代区分の説明文を用いて整序する問題です。一部、マイナーな時代説明が含まれていますが総じて解答は容易です。できれば正解したい問題でした。昨年度の12月の「洛北西京テーマ別特訓・文系総まとめ講座」にて時代区分については詳しく扱いました。

 

(3)歴史的建造物及び歴史的絵画の時代区分を判断する問題 【やや易】

建造物と絵画について時代区分を判断し、各時代の特徴について書かれた資料と適するものを選択する問題でした。写真について説明・判断する問題は頻出であり、傾向に沿ったものです。前の小問での時代区分の判断が正確にできていないと連鎖的に間違いを犯してしまう問題です。しかしながら、登場する資料は有名なものが多く解答は容易な問題でした。できれば正解したい問題でした。昨年度の西京プラクティスで同形式の問題を出題しています。また、歴史補助教材にて政治・社会経済・文化・軍事・外交といった観点ごとに歴史を総まとめしています。

 

(4)政治的中心の所在地の地理的特徴について問う問題【標準】

会話文中に当てはまる語句を条件に沿って自由に記述問題です。過去にも地理分野と歴史分野の融合問題の例はありますが、本題はより深い地理的知識が求められるなど、質的に変化しています。2018年の大問4でも同様の形式の地理・歴史融合問題が出題されています。会話文中で地形の視点から江戸の立地を捉えるように誘導がされているので解答の方針を立てることは可能です。しかし都市立地と地形の因果関係について理解をしておく必要があり、差がついた一問であったと考えられます。

 

(5)都市立地の変化の要因について問う問題【難】

会話文の空欄補充形式で字数制限のある記述問題です。毎年出題される習った知識や与えられた情報を元に、自分で新しい考えを生み出す思考力を問う設問です。近世における地理的な国土の変化を述べる必要がありますが、小学校のカリキュラムから類推するのはかなり難しいと言えます。治安の安定など歴史的事象を切り口に記述するのが現実的ですが、時代区分が離れていることからこちらも難易度が高く、今年度随一の難問でした。

 

大問7 日本の工業地域と工業の変遷について問う問題

(1)日本の鉄鉱石輸入先と工業地帯の変化について問う問題【標準】

会話文の空欄補充形式で、工業地帯の変化についての語句記述問題及び空欄前後の文脈に沿う形で正しい国名を選択肢から選ぶ問題でした。工業分野からの出題は頻出で、会話文の空欄補充形式も頻出です。また戦前の工業に関しての知識を問うてることから、地理歴史融合問題でもあります。戦前と戦後の工業の変化は具体的に踏み込んだ理解が難しい分野です。問題の一部に発展的な内容を含むため、確実に部分点を確保することが大切でした。

 

(2)平成日本の工業の変化を問う問題【やや難】

日本の工業の変化に関する説明資料の空欄を埋める自由記述問題です。時事的な問題(原子力発電・エネルギー問題や過疎化)の出題は昨年度をはじめ多く見られますが、バブル経済崩壊後の工業の変化に関する出題は初めてでした。現代の工業立地を問う問題であり、海外での現地生産が行われる理由を観点として要するなど、問題全体としての難易度は高いですが、内陸工業の発展に関しては頻出の定番問題といえます。確実に部分点を確保する必要がある問題です。入試本番一週間前に実施した「西京予想問題実践講座」にて同様の知識を問う問題を取り扱い、解説しました。