【西京附中 理科】2020年入試は良問続出!伝統の「現象考察」を読む

2020年09月05日
小学生向け 学校/入試情報

1.例年の傾向

適性をみる検査Ⅲの理科分野は、毎年3、4題の大問から構成されています。各大問は主にレポート形式で出題されています。各大問のテーマは、様々な分野からバランスよく出題されており、学年は3年生など低い学年の内容からも多く出題されているのが特徴的です。

西京附中の理科分野の出題で求められている力は大きく分けて3つです。

1点目は「長い科学的文章を理解する読解力」

2点目は「現象の理由を考察する思考力」

3点目は「算数の能力を理科に応用する計算力」です。

1点目の「長い科学的文章を理解する読解力」について

これは教科を問わずですが、洛北西京附中受検最初の壁である問題文の長さにまず対応する必要があります。

特に理科については、レポート形式の科学的な文章を読み、どのような条件で実験を行い、どのような結果を得たのかを理解しなくてはなりません。

さらに、条件や結果について表や図、グラフで説明される場合もあり、データに対する読解力も求められます。この場合も、問題を解くための情報を抽出する作業が必要で、小学校で習う技能を超えた幅広い読解力が要求されます。

2点目の「現象の理由を考察する思考力」について

これは西京附中が独特に要求する力です。

西京附中は教科書に紹介された現象の理由を説明させたり、未知の事象に対して教科書の知識を応用して考察する問題を出題しており、単なる知識の暗記ではなく、きちんと理由を推測して説明できる力が要求されています。教科書知識を当たり前のものとしてただ受け止めるのではなく、そこに「なぜ?」という科学的な視点を持ってほしいという西京附中からのメッセージだと受け取れます。

3点目の「算数の能力を理科に応用する計算力」について

これも西京附中の理科に特徴的なポイントです。

西京附中の理科では、毎年何問か、まるで算数のような計算問題が出題されています。

特に出題されやすいのは速さと割合、比例関係に関する問題です。題材が理科的な題材に変わってはいますが、そこに対してしっかりと算数の能力を発揮できるかが問われています。

また、これらのことから西京附中においては算数の配点は300点中の100点より大きいと捉えることもできます。

つまり、算数の苦手を放置していると理科の得点も伸び悩んでしまいます。算数の文章題が苦手な人はしっかり対策していきましょう。

2.今年の傾向

今年の適性をみる検査Ⅲ理科分野は、大問数が4つで、昨年の大問3問構成から増加しました。

小問数も昨年の11題から15題に大幅に増加しています。計算問題は昨年の2題から減少して難易度の低い1題のみとなりましたが、記述問題は例年より多い3題分出題されています。しかし、うち2題には文字数制限がついており、記述量が大きく増加したわけではありません。

出題分野は、「空気と水の性質」「水溶液の性質」「ものの溶け方」「月と太陽」「ヒトの体のつくりと働き」「生物どうしのかかわり」と化学・生物・地学の3分野から広く出題されています。西京附中は例年物理分野から必ず問題を出題していましたが、今年度は物理分野からの出題がなく、新傾向であったと言えるでしょう。

西京附中最大の特徴である「現象の理由を考察する思考力」が、より明確に求められるようになりました。

特に大問2の「コーラに含まれる二酸化炭素」についての問題は、身近な現象を教科書の知識をもとに考察するという西京附中の特徴がはっきりと表れていました。また、それらを短い文字数で端的にまとめる能力も要求されており、難しく感じた受検生が多かったと思います。
また、問題文が例年通り非常に長く、図や表が多用されていたため、しっかりと過去問演習を行って「長い科学的文章を理解する読解力」を鍛えておく必要がありました。
計算問題も例年通り出題はされましたが、今年は比較的単純な計算であったため、合否にはあまり影響しなかったと思われます。

新傾向としては、物理分野の出題が見られなかった点や分量が増えた点など形式面での変更はみられましたが、内容は今まで通りの傾向が継続されており、むしろ今まで以上に、身近な現象に対する科学的な思考力と、それを説明する表現力を要求する西京附中の姿勢が鮮明になったといえます。

3.難易度について

例年の西京附中の理科は、難しい記述問題が出題されており得点の伸び悩む科目の1つです。

今年もその傾向は継続されており、多くの受検生が正答できていない問題も多かったと思われます。今年度も難易度は例年並みです。しかし、中学入試に頻出の典型的な問題も多く、それらをしっかりと得点したうえで、記述問題も部分点を狙って解答欄を埋めれば、合格ラインに達することは難しくないでしょう。