「えっ、歴史めっちゃ難しいやん・・・」
初めて嵯峨野高校の入試問題を目にした受検生の多くは、きっとこのような感想を抱くでしょう。
しかしながら、実際の入試本番で差がつくのはこのような「難しい」歴史の出来ではなく、標準的な難易度で出題されている地理や公民の「完成度」が嵯峨野高校の社会の得点を左右していることが多いです。今日はその中でも、「問われている知識は難しくないが、それを活用して問題の本質を考えられるかどうが」で正否が分かれる良問を地理分野の出題例からご紹介します。
ぱっと見で判断すべからず、そもそも何が問われているのかということ
■2016年 嵯峨野高校 社会 大問3
(5) 次の【表 2】のア~エは、金沢市と姉妹都市になっている都市のうち4つの都市(チョンジュ、ナンシー、蘇州、イルクーツク)における2月16日の日の出時刻と日の入り時刻をあらわしたものである。下の【図 3】も参考にし、イルクーツクにあてはまるものをア~エから 1つ選び、記号で答えよ。
この問題、どんな知識が必要だと思いますか?
ぱっと問題を見た賢いアナタ、こう思いましたか?
「なんだ、時差の問題じゃん」
そう思って時差で選択肢を比較すると、大変なことが分かります。
「ア・イ・エの時差は1時間である」……???
パニックに陥っていませんか?
じつは、驚くことに、必要な考え方はたった1つです。
「太陽は、東から西に移動する」
まさか。そんなばかな。
でもこれだけでいいんです。
では、早速解いてみましょう。【図3】から、4つの都市の位置関係が分かります。日本に近い順に書くと、
ナンシー・イルクーツク・蘇州・チョンジュ の順になります。
ということは、「イルクーツクは4つの都市の中で3番目に日本に近い」ということがわかりますね。
次に、【表2】から、ア~エ地点を「日本時間において」日の出が早い順に並び替えると、
エ・イ・ア・ウ
考えてみましょう。例えば、日本国内でも、札幌と京都なら日の出も日の入りも札幌が早いです。気になった人は調べてみましょう。
つまり、この原理を問題に当てはめれば、答えは、3番目に日の出が速い「ア」が答えになります。
おわかりですか?このように、社会の入試問題でも、やみくもに一問一答の用語や原則を覚えていても、
その用語や原則の「正しい使用法」がわかっていないと、本質を見失ってしまいます。問題演習をするときも、「そもそも何が問われているのか」を毎回考えながら取り組むことが大切です。