入試の社会では、しばしば地形図を読む問題が出題されます。
でも、地形図なんてごちゃごちゃしてややこしいし、どこから見ればいいのかわからない…
そう思っていませんか?
そんなあなたにテクニックを授けます。
「地形図は『ある』ものと『わかる』ものに“わけて”考えろ!」
…といっても、これでは何のことかわかりませんよね。
では、実際の入試問題を見ながら考えてみましょう。
2015年 西京高校 社会 大問1
問3.下線部(c)に関して、次の図は福島県を通る阿武隈川流域を示した地図の一部である。この地図から読み取れることとして誤った記述のあるものをあとのア~エから1つ選び、記号で答えなさい。 ( )
ア 地図中の阿武隈川右岸には、左岸に比べて多くの神社や寺院があることがわかる。
イ 瀬林(地図中の西側中央からやや南にある地名)の周辺には畑や果樹園がみられるため、水はけが良い土地であると考えられる。
ウ 右下にある信夫ダム付近には発電所がみられるため、発電がこのダムの建造目的の1つと考えられる。
エ 150mの計曲線がみられるため、この地図は2万5千分の1地形図であることがわかる。
選択肢が長くて分かりづらい。。。
地図と選択肢がありますね。典型的な「読図」の問題です。選択肢が長くてわかりづらいですよね。なので、選択肢をプツプツとわけていきましょう。
アは①「右岸には、左岸に比べて」と②「多くの神社や寺院がある」の2つにわけられます。次に、イは③「畑や果樹園がみられる」と④「水はけが良い土地である」。ウは⑤「発電所がみられる」と⑥「発電がこのダムの建造目的の1つと考えられる」。最後のエは、⑦「150mの計曲線がみられる」と⑧「この地形図は2万5千分の1である」にわけられます。
全ての記述が2種類に分けられた!
1つは「ある」もの。実際の地図に書いてあるもののことです。②③⑤⑦がそうですね。「~がある」や「~がみられる」という言葉を目印にすると良いでしょう。
そしてもう1つは「わかる」もの。地図に直接は書いていないけれども、地図から読み取れるもののことです。①④⑥⑧がそうですね。「~である」や「~と考えられる」という言葉がヒントです。
選択肢をわけるとどのような良いことがあるのでしょうか?
実はこの作業によって選択肢をけずることができ、どこを読めばいいかが明確になるのです。
まず「ある」もの、これは判断がしやすいですね。地図から探せばいいだけです。この問題の場合は「ある」の記述に誤っている部分はありません。ということは、「ある」については考えなくても良いわけです。
次に「わかる」もの、これは判別しにくい。どちらが右岸かなんて、この地図からはちょっとわからないですよね。なので、ここは消去法で解いてみましょう。このコラムはテクニックの紹介なので詳しい解説は省きますが、④⑥⑧はいずれも正がしい記述です。ということは、残った①が間違いですね。神社や寺院が多いのは左岸です。
「ある」と「わかる」
このように、選択肢をわけると正誤の判断がしやすくなります。さらに「ある」と「わかる」にわけることで、より考える順序がはっきりと見えてくるんですね。
地図に「ある」ものを見て、そこから何が「わかる」かを考える、これは地理の本質です。
本質にしたがって解くことで、いっそう正確な読図ができるでしょう。
次から地形図の問題が出てきたときは、「ある」と「わかる」の違いを意識して解いてみてください!