
高校の英語になると、覚えるべき単語の量が増え「とてもじゃないけど覚えきれないよ・・・」となっている人も多いかと思います。
ですが,単語って、端から端まで丸暗記しないといけないものだと思っていませんか?
どうしても暗記しないといけないものも多いですが、不規則変化動詞の場合と同じように、多くの単語のようにある程度の規則で関連づけることができます。
単語の「家族関係」
ここでは文字通り「一つで二度おいしい単語」の見つけ方を品詞の観点からグループに分類しながら紹介していきます。これらは英語の核となる部分ですので、暗記するしかありませんが、よく登場するものばかりですので案外難しくはないはずです。
以下では、かなり多くのパターン分類を行っていますが、大切なのは、単語同士の関係性を見抜けるようになることです。まずは,動詞をもとに形容詞が作られる場合で詳細に解説していますので、それらを見てみましょう。
(1) 動詞-形容詞編
例えば、この問題を見た時みなさんはどう考えるでしょうか。
問 ( )にexcitingまたはexcitedを入れなさい。
(a) I felt ( ) when our team got points.
(b) The game was ( ) because both teams got many points.
まず正解を発表します。(a)はexcited、(b)はexcitingです。正解できましたか?
では、正解できた方にお尋ねします。どのような思考回路で正解にたどり着きましたか?「excitingは、わくわくさせるような、という形容詞で、excitedは、興奮している、という形容詞だ。興奮するのは人だから、(a)はexcitedで、わくわくさせるのは試合の方だから、(b)はexcitingだ」と考えている人はいませんか?
実際、この考え方は何一つ間違っていません。ですが、英語の根幹を見逃してしまっています。ご存知の方もいるかもしれませんが、exciting, excitedは、どちらもexcite「興奮させる」という動詞の分詞形という,いわば「親子関係」のようなものです。
つまり、この問題に正解するのに、excited, excitingの細かい違いを丸暗記しておく必要はなく、exciteという「親」にあたる単語の意味と、現在分詞(~している)と過去分詞(~された,~した)の意味を覚えておけば、正解できるのです。だいたい勝手が分かりましたか?他にはsurprise – surprised, surprising、interest – interested, interesting、bore-boring, boredなどがあります。
(2) 形容詞-副詞編
文章を読んでいて「なんか似た単語は見たことあるけど意味はよくわからないなあ」みたいな経験はありませんか
?例えば I am thinking deeply about the problem. という文でdeeplyがわからなかったとします。
ですが、実はdeepという単語と、末尾のlyの効果を知っていれば十分です。
ここで、deepは基本単語なので「深い」という意味の形容詞であるということは既知とします。では、後半のlyですが、これは、前の部分の形容詞と同じ意味を副詞化する効果をもちます。つまり「深い」を副詞化して「深く」となるわけです。
先ほどの「親子関係」になぞらえてみれば、こちらは「兄弟関係」といったところでしょうか。このような例はかなりたくさんあるのでここでは挙げませんが基本的にどんな形容詞でも末尾にlyをつけることで副詞化できます。ただし、
① 形容詞と副詞が同形(fast, early, elderlyなど)、および形容詞にlyを加えたとき意味が変化(hard – hardlyなど)
② 名詞や動詞の末尾にlyをつけた形容詞も存在(cost – costly (副詞なし)、chill - chilly (chill: 「寒さ、寒々しい、冷やす」という意味。ちなみにコンビニで見かける「チルド」はこの過去分詞形のchilledに由来)
③ 形容詞の末尾がすでにlyの場合は不可能(唯一の例外はchill – chillilyのみ)
という例外もあったりするのでところどころ注意が必要です。
(3) 形容詞-名詞編
もうここまで来たらだいたい何が起こるか想像できますね?次は形容詞を名詞化、名詞を形容詞化する方法です。いくつかパターンがあるのですが、それらの具体例だけを挙げておきます。これらを暗記する必要はありません。ペアの一方を見て他方が類推できればそれで充分です。
① able – ability 形 (形容詞の末尾に-ityを加えて名詞化)
例 responsible – responsibility, moral – morality など
② beauty – beautiful 形 (名詞の末尾に-ful または-less (-ful: ―を含む、-less: ―を含まない、という意味。詳しくは次回のコラムを参照)を加えて形容詞化)
例 care – careful/careless, power – powerful など
③ danger – dangerous 形 (名詞の末尾に-ousを加えて形容詞化)
例 courage – courageous, number – numerous など
④ nation – national 形 (名詞の末尾に-alを加えて形容詞化)
例 condition – conditional, education – educational など
⑤ different – difference 形 (末尾が-tの形容詞の末尾を-ceに変えて名詞化)
例 important – importance, distant – distance など
⑥ sick – sickness 形 (形容詞の末尾に-nessを加えて名詞化)
例 bad – badness, busy – business など
なお、これらを組み合わせたもの(carefulnessなど)や、これらのどれにもあてはまらないものもありますが、だいたいは1-6で説明がつくと思います。
(4) 動詞-名詞編
ラストは動詞の名詞化です。(3)同様、パターン分けを記しておきます。
①act – action 形 (動詞の末尾を-tionに変えて名詞化)
例 explain – explanation, imagine – imaginationなど
② try – trial 形 (動詞の末尾を-alに変えて名詞化)
例 deny – denialなど
まとめ
いかがでしたでしょうか。単語を品詞という観点から分析してみると、実に多くの単語が互いに関連しているというのが実感できたのではないかと思います。
これからも、何か見たことのある単語と近い部分構造をもつ単語と出会ったら、ぜひその「家族関係」をたどってみてください!