【高校受験・社会】近代史は10年ごとに覚えろ!10の出来事で分かる日本の近代

2023年04月09日
中学生向け 受験対策/勉強法

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 中学3年生の皆さん、歴史の授業はどこまで進みましたか?

 

 もちろん学校によりますが、ちょうど歴史が終わって公民へ入ろうとしているところ、あるいは第二次世界大戦の あたりという人が多いかと思います。

 

 

 皆さんが2年生の終わりから3年生の前半にかけて学ぶ歴史は、一般的に「近代史」と呼ばれる分野です。

 

 時代で言うと、明治時代から昭和の前半を指します。

 

 

 近代史は、多くの生徒が 苦手 とする分野ですが、同時に中学の歴史の中で 最もカギとなる分野 なんです!

 

 

 実は、 すべての時代の中で最も出題される確率が高いのは「近代史」 です。西京高校のエンタープライジング科に至っては長らく近現代からしか出題していませんでした。(※昨年度入試では近代以前からの出題もあったため、やや傾向は変わりつつあります)

 

 

 しかし、この分野は学校で学ぶのが遅く、駆け足で授業が進められることもしばしば……。「ややこしいのに、復習の時間もとれない!!」というのが皆さんの本音ではないでしょうか?

 


 

 そこで今回は、ややこしい近代史の大きな流れを皆さんにお教えします。大きな流れを抑えるのが苦手克服するための一歩です。

 

 

 江戸時代が終わって新しい政府が誕生してから、戦争に負けて新たに民主主義国家として歩み出すまでの77年間が「近代」です。

 


 この間に様々な出来事が起こったのですが、この大きな流れを抑えるコツは、以下の2つです。

 

・年代ごとに分けて覚える
・各年代を象徴する出来事を中心に覚える

 

 77年間を一つの時代として見るのではなく、いくつかの年代に分けて覚えましょう。

 

 その時に、それぞれの時代の特色をよく表している出来事を中心に覚えると、時代のイメージがつかめ、難しい思考問題にも対応できるようになります。

 

 この記事では近代を10年ごとに整理します。

 

 そして、それぞれの年代を象徴する出来事8つと、近代の始まりと終わりを合わせた10の出来事、これを中心として近代史を覚えていきましょう。それぞれの出来事に語呂合わせも付けたので参考にしてみてください。

 


 まずはこの2つの出来事を覚えてください。

①1868年・・・明治政府成立
⑩1945年・・・太平洋戦争終戦

 

 

 これが近代の始まりと終わりです。この2つを枠として、中身を埋めていきましょう。ではここからは10年ごとの歴史を話していきます。

 

 

●1870年代

 

 この時代は「明治維新の時代」です。

 まなべーと1870年

 廃藩置県(1871)、学制(1872)、徴兵令(1873)、地租改正(1873)など、新しい国づくりのための様々な政策が行われました。これは言い換えれば、「武士の時代」だった江戸時代を終わらせるための政策だったと言えるでしょう。


 この時代を象徴するのが②西南戦争(1877)です。明治維新で職を失った武士たちが起こした反乱ですね。西郷隆盛を中心とした薩摩の武士たちが反乱を起こしますが、鉄砲を持った官軍によって倒されてしまいます。


 西南戦争によって江戸時代が本当に終わってしまった、これが1870年代という時代です。

 

語呂合わせ:いやな内(1877)戦、西南戦争


●1880年代


 この時代は「自由民権運動の時代」です。

 

 明治維新によって国内が整ってくると、今度は民衆の側から国家を良くしようという動きが現れてきます。板垣退助などが有名ですね。1870年代が「上からの近代化」だったとすれば、1880年代は「下からの近代化」の時代でした。


 そしてこの時代を象徴するのが③大日本帝国憲法(1889)です。自由民権運動が成果を結び、やっと日本に憲法ができました。この憲法はアジアでほぼ最初の憲法。まさに「いち早くできた」憲法なんですね。


語呂合わせ:いち(1)早(88)く(9)できた帝国憲法


※アジアで最初の憲法はトルコでできた「オスマン帝国憲法」です。しかしこの憲法は1年足らずで停止されたので、大日本帝国憲法が「ほぼ」最初の憲法というわけです。

 

●1890年代


 この時代は「大陸進出の時代」です。

 

 憲法もできて国内の体制が整った日本は、いよいよ大陸へ進出しようと試みました。朝鮮で甲午農民戦争(1894)が起こると、日本は乱の鎮圧を目的として朝鮮へ出兵。同じく朝鮮へ兵を出していた清と鉢合わせになりました。こうして起こったのが④日清戦争(1894)です。


 日本はこの戦争に勝利し、下関条約(1895)にて遼東半島をはじめとした領土を獲得しました。結局遼東半島は三国干渉(1895)によって返還することになりますが、それまで中国から技術や文化を受け入れるばかりだった日本が清に勝利したのは重大な事件でした。こののち日本は次々と大陸へ進出していくこととなります。


語呂合わせ:日清ラーメンいっ(1)ぱ(8)い食(9)うよ(4)

 

●1900年代

 この時代は「重工業化の時代」です。

 

 下関条約で得た賠償金を用いて建てられた八幡製鉄所をはじまりとして、鉄鋼業を中心とした重工業が栄えました。一方で足尾銅山鉱毒事件のような公害も起こるようになりました。


 この時代で大きな出来事と言えばやはり⑤日露戦争(1904)です。日清戦争のちょうど10年後ですね。この戦争に勝利した日本はポーツマス条約(1905)で南満州鉄道の権益を得、その後、韓国併合(1910)も行っています。


語呂合わせ:銃(1)く(9)れ(0)よ(4)と日露戦争

●1910年代

 この時代は「イケイケの時代」です。

 

 なんだか急にふざけたネーミングになりましたが、ともかくイケイケなのです。イケイケって今の中学生には通じるのでしょうか。とりあえず日本が調子に乗っていた時代だと思ってください。なぜイケイケなのか、それは⑥第一次世界大戦(1914)のおかげです。日露戦争の10年後ですね。


 第一次世界大戦はヨーロッパを中心とした戦争でした。つまり日本はほとんど戦場にはなりませんでした。そこで日本は船や綿布を輸出し、大儲けしました。「どうだ、明るくなったろう」のセリフで知られる成金の図は印象に残っている人も多いかと思います。


 このように輸出を伸ばすことができたのも、1900年代に重工業化を果たしていたからでした。絶妙なタイミングで起こった戦争によって日本が成長できた時代、それが1910年代です。

 


語呂合わせ:行(1)く(9)意(1)志(4)あるかな 一次大戦

重永Tコラム用成金

●1920年代

 この時代は「下り坂の時代」です。

 

 第一次世界大戦によって景気が良くなった日本ですが、1920年代になるとその反動で不況の時代がやってきます。

 さらに、⑦関東大震災(1923)が起き、東京は大きな被害を受けます。そして1929年には、ニューヨークでの株価暴落をきっかけに世界恐慌も起こります。

 これによって世界は2度目の大戦へと突き進んでいくことになるのですが、それまで成長を続けていた日本にとっては、1920年代は上り坂から下り坂に突入した時代だったと言えるでしょう。


語呂合わせ:特(19)に(2)災(3)難、大震災

●1930年代

 この時代は「恐慌の時代」です。

 

 1929年の世界恐慌の影響を受け、日本でも恐慌が発生しました。恐慌によって社会は不安定になり、国民の不満が高まります。そこで登場したのが「軍部」でした。
軍部は領土の拡大を掲げて国民の人気を得ます。植民地を得れば国民の生活も豊かになる、そう考えたというわけです。軍部は満州事変(1931)によって満州へ侵略。そのまま中国へ進出し、ついに⑧日中戦争(1937)へと突入しました。


語呂合わせ:戦(193)長(7)引く日中戦争

●1940年代

 この時代は「戦争の時代」です。

 

 なかなか決着のつかない日中戦争によって苦しんだ日本は、戦争をするための国家体制を整えていきます。そのはじまりは1930年代に定められた国家総動員法(1938)ですが、そのあとも、大政翼賛会(1940)の結成や日独伊三国同盟(1940)など、着々と戦争への準備をしていきます。


 そうした中で始められたのが⑨太平洋戦争(1941)でした。しかし、アメリカとの力の差は圧倒的。沖縄での地上戦や原爆の投下を経て、⑩太平洋戦争終結(1945)を迎えました。


語呂合わせ:い(1)く(9)よ(4)い(1)っきに真珠湾

 

まとめ

 以上が日本の近代史です。少し長くなってしまったので、ここでこれまでの流れをまとめてみましょう。

重永Tコラム表
 いかがでしょうか。


 明治維新によって誕生した「日本」が、日清、日露と戦争に勝ち、第一次世界大戦によって頂点を迎えたのち に、恐慌によって戦争に巻き込まれていく…、そんなイメージを持っていただければ大丈夫です。


 歴史の勉強では大きな流れを抑えることが重要です。

 

 まずは上の表にある10の出来事を中心として大きな流れを頭に入れ、そこから各年代ごとの細かい歴史を覚えていってください。

 

 そうすれば、たくさんの出来事を1つの流れにまとめることができ、忘れにくく応用しやすい知識となります。

 


 歴史のキモである近代史を攻略し、社会を得意教科にしてください!