京大で、最も「どんなことをやっているのか分からない」学部。
それが総合人間学部。
その学部に、一年の浪人生活の後に入学した京大院生にお話をうかがいました。
「総人って何してるん?」「浪人生活、どうやって乗り切ろう…」
そんなあなたに、何かヒントがあるかもしれません。
大野竣介 京都大学総合人間学部卒業。現在、京都大学公共政策大学院所属。 愛知県立旭丘高校出身。小さい頃より柔道に打ち込み、大会でも好成績を残す。 現在は学習塾の代表を務め、主に小学生指導に力を入れる。
「頑張りきれなかった」現役時代
現役時代、受験勉強を始めたのはいつ頃からですか?
受験勉強は、高3の10月頃からのスタートだった気がします。
高校生の時頑張っていたのは、何と言っても部活。柔道部に入っていて、朝5時半に起きて7時からの朝練に参加、部活も夜の7時までっていう生活で、ほとんど勉強にあてられる時間はなかったですね。笑
最初から総合人間学部を志望していたんですか?
最初は法学部に行きたかったんです。京大を選んだのも、「1人暮らしがしたかった」っていう理由が大きくて、当時はあまり深く考えずに、数学が苦手だったので法学部、って感じでしたね。笑
でも、浪人生の時に自分が本当にやりたいことを改めて考えると、本当に分からなくて。
先輩とか同級生にも話を聞いて、ちょっと勉強してから進路を決められるっていう総合人間学部に魅力を感じました。
あと、倍率も結構高いので入るのが難しいっていうのも理由としてありました。僕は、手の届く目標に対してはやる気をなくしてしまうタイプで、「自分の到達できる最高地点はどこか」って感じで、やるならとことんまでやりたかったんです。
『浪人』ってかなり辛い経験だと思うんですが、どうモチベーションを保っていましたか?
まず、現役時代、「最後まで頑張りきれなかった」っていう思いがあって。京大を受験した時も、ヘラヘラして帰ってしまったんですよね。それがすごく大きかった。
浪人を受け入れられたのも、「頑張りきれなかった」っていう思いがあったからだと思います。このままだと、自分の進路選択、自分の人生に責任を持てていない気がして、とにかく全力でやり切ろうと決めました。
「浪人したから」こそ学べた「人への頼り方」
現役時代と浪人時代で変わった部分はありますか?
徹底的に人に頼るようになったことですね。
とにかく数学が苦手で、現役の京大入試の時の点数も20点台。かなりの挫折経験でした。
それまで自分なりにやり方を考えてやってきたつもりだったんですが、もうそれも限界だな、人に頼るのもありだなって思って、浪人生の時は、「この人!」って決めてとにかく色々聞きまくってました。
当時通っていた予備校の先生に、「数学の問題は1問を15回解け」って言われて。その通りにやったら実際に数学ができるようになったのは大きかったですね。
浪人生活というとかなり「自分で計画を立てて進める」力が大事なイメージがあります。計画の立て方にコツなどはありましたか?
まず、僕にとって計画は、「やりきれないとしんどくなってしまうもの」でした。
なので、計画を立てる時には、自分の出来る範囲で設定するというのは意識していました。
そして、ここでも大事にしていたのは「人に聞く」ということ。使うテキスト、やる期間はこれでいいのか、徹底的に先生に聞いて意見をもらっていましたね。
また、計画を立てる時には「予備日を作ってあげる」ことも同時に意識していました。1週間でやるのだったら、きっちり1週間で全部を終わらせるように計画を立てるのではなく、1日予備日を含めて計画に入れてあげる。その予備日までに計画していたことが終われば、その日は「自分を許してあげる日」にして、ゲームをしたり、映画を見たりしていましたね。
なるほど。では、「目標」についてはどう立てていましたか?
「模試で〇〇点取る」って実は具体的な目標ではないと思っていて。
得意科目だと、ある程度何をすれば点数が上がるかがつかめているのでそれでもいいと思うんですが、苦手科目だと、点数を上げるために何をすればいいのかそもそもよく分からない。
なので、「点数を上げるためには何をやるべきか」を他の人にアドバイスをもらって、その「やるべきこと」を目標にするようにしていましたね。
総合人間学部について聞かせてください。学部の仕組みはどうなっているんですか?
1、2回生は本当に好きな科目を履修できます。3回生になるタイミングで、5つある「学系」(人間科学系、認知情報学系、国際文明学系、文化環境学系、自然科学系)の中からまずは主専攻というメインの専攻分野を選びます。そして、4回生になると副専攻というサブの専攻を選びます。つまり、総合人間学部では最終的に2つの専攻分野を持つことになりますね!
大野さんはどの学系を選ばれたんですか?
主専攻は国際文明学系、副専攻は認知情報学系でした。主専攻は、自分が授業を受けていて面白いと思った教授が国際文明学系の教授だったので、それで決めましたね。
ちなみに大学院(公共政策大学院)ではどのようなことを?
学部の時の卒業論文で、中等教育政策に関するテーマを選びました。大学院では、統計学的な視点を勉強して、そのテーマについての研究を深めたいと思っています。
総合人間学部って本当に「自由」なイメージがあります。実のところどうなんですか?笑
確かに自由ですね。笑
ただ、自由な分、自分のやりたいことを主体的に選んでいかないといけないのも事実です。
何かしらもともと問題意識を持っていて、それを研究で深める人もいれば、ただ何となくフワフワした状態で卒業する人もいます。大事なのは、1、2回生で「自分は何が学びたいんだろう?」という意識を持って過ごして、「これ面白い!」「これやりたい!」と思えるものにしっかりとアンテナを張っていくことだと思いますね。
部活、1年の浪人生活。人生において、徹底的に「やりきる」ことをモットーとしてきた大野さん。
総合人間学部という「自由な環境」で、しっかりと自分のやりたいことを見つけ、それに向かって突き進む姿が印象的でした。
あなたも総合人間学部で、「本当にやりたいこと」見つけてみてはいかがでしょう?