
物理は得意なはずなのに、点数が伸び悩んでいる人
わかってるのに、解き切れない…という人
物理対策として、どんな問題集を解こうか迷っている人
そんな人におすすめの参考書が『物理のエッセンス』!
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※基本的に物理を一通り習った人向けです。
このエッセンスですが、同著者の『良問の風』『名門の森』との3点セットだと考えるといいでしょう。
難易度は
『エッセンス』<『良問の風』<『名門の森』
となっており、初級編という位置付けです。
初級編なのでぶっちゃけ問題自体は簡単です。ですがそれが目的にはちょうどいいのです。
その理由を説明していきましょう。
物理の問題はすべて限られた要素の変形
まず、物理が数学・化学と違う事として覚えていてほしい原則があります。
それは、物理において独立している要素というのは、非常に少ないということです。
例えば、力学分野の範囲では、以下に示すように様々な法則、公式、力が登場します。
これら一つ一つが問題で問われうる要素の1つといえます。
※ただし、←で繋がれているのは、元となる式を計算した結果出てきたものであり、
↔で繋がれているのは、1つのものを別の側面から見ているものです。
こうして羅列すると多く見えますが…
よく見てみるとほとんど運動方程式から導かれるものですね。
さらに↔で繋がれているものも多くあります。
これらをまとめて1つと数えると、力学範囲で独立している要素は、
運動方程式、作用反作用の法則、フックの法則、仕事の定義…などの10個ほどだとわかります。
上に羅列した他の多くの要素は独立した要素を式変形したり、条件を付け足したりすることで導くことができます。
高校で履修する範囲にはあと4つの分野(波動・熱力学・電磁気学・原子物理)がありますが、
基本的に力学を基礎としてその他の分野特有の要素を加えたものなので、
高校物理全体で見ても独立した要素といえるものは少ないといえるでしょう。
このように、物理の各要素は、限られた独立要素を変形することで出来ているのです。
(特に力学は運動方程式からほとんど出来ている。)
まず初めにこの「独立要素は少ない!」という事実に気づくことが大切です。
鍛えるべきは各要素を素早く処理する能力
しかし、このことに気づいた多くの人が、その後に下のような間違いを起こしてしまうのです。
「独立した要素と、変形の仕方を勉強すれば、それにつながった要素は勉強しなくていいのでは?」
という、間違いです。
例えば、
単振動の式は、運動方程式にや復元力F=-ω2xを代入して、方程式を解くことで導出することができます。
だから、単振動の式なんて覚えなくも問題ないよね。
ということになります。
これはある意味で正しいといえます。
他に応用が利く部分を勉強するのは非常に効率がいいことです。
さらに言えば、独立した要素には本質的な部分が多く、そこを勉強すると物理を深く勉強してる!という気になってしまいます…
ですが、その考えが間違いの元なのです。勉強時には効率がよくても、実際に問題を解く段階で効率がいいとは限りません。
というか普通に効率が悪いです。
数学でいえば、覚えた公式に当てはめるだけで解くのではなく、公式を導くところからやるということなので、
確実性は高くても時間がかかってしまいます。
問われている要素が少ない簡単な問題では時間がかかったしてもたかが知れています。
要素が少ない=単純な物理現象の問題であるので、イメージするのも簡単ですね。
ですが、京大など難関校の受験物理で問われるのは、たくさんの要素が連なった複雑な物理現象です。
そんな問題を解くために、いちいち要素を最初から導出していては時間がなくなってしまいます。
時間が無くなれば焦りを生じ、問われている物理現象を理解することも難しくなってしまいます。
結局、難問を解くための前提として、それぞれの要素を素早く処理する能力が必要となるのです。
(もちろんあくまで前提ですので、問われている現象を理解し、イメージする能力は別で鍛える必要があるでしょう。)
とりあえず『物理のエッセンス』を一周してみよう!
では、それぞれの要素を素早く処理する能力を鍛えるにはどうしたらいいでしょうか?
それは、各要素についての理解を深め、演習を積むことです。
『物理のエッセンス』には各要素1つ1つに丁寧な図と解説がつけられ、
さらにそれらを使いこなすための練習問題が載っています。
つまり、難問を解くための前提を鍛えるのに最適な問題集兼参考書といえるでしょう。
エッセンスは各単元を飛ばさず、順番に解いてください。
あまり理解していないような単元では先に解説を読み、その後練習問題を解くといいでしょう。
また、十分わかっている単元でもとりあえず練習問題を解いてみてください。
もし完璧に解けたらそれを自信にして次の単元に進み、うっかり間違えたら、解説を読んでからもう一度解きなおすのがおすすめです。
ぜひ一周こなしてみてください。そのあとに適当な学校の入試問題を解いてみてください。
それぞれの要素に気を取られることがなくなり、素早く、そしてクリアな思考で解くことができるようになっているはずです。