この記事は京都大学・大学院の合格者による個別指導塾、個別指導リジョイスの村本先生が書きました。
今の高校生と京都大学大学院経済学研究科のとある学生(筆者)の共通点。
それは、一人で黙々と勉強をしているという点です。
私は論文を執筆する上で必要な知識を身につけるために、700ページ近くある英語の専門書を黙々と勉強しています。
そして集中力が切れたころに、ふと思うことがあるのです。
「あ〜・・・これ、高3の夏休みと同じ状況やな・・・」と。
夏休みは補講がある人も多いとは思いますが、基本的には家で勉強することがほとんどです。
午前中は古文と世界史をやって、午後は数学のみ、夕方から英語をやって1日が終わる・・・。
こんな1日を繰り返すのです。
学校が休校になったことからみなさんは一足早く「夏休み」を体験できました。
しかし、中にはだらっと過ごしてしまった人も多いのではないでしょうか?
学校が再開し、全国の受験生がいよいよ本気の本気で勉強をするタイミングで夏休みを迎えます。
この夏休みの過ごし方こそ受験の合否を大きく分けるといっても過言ではありません。
というか、合否を大きく分けます(断言)。
今回の記事では夏休みにどんな勉強をすればいいのかを数学に絞って紹介します。
もちろん今から取りかかっても問題はありませんが、学校に慣れることや学校からの課題に追われることが想定されます。加えて体調管理を最優先にすべきことを考えると、今は無理をせず、しかし余力があればぜひ取り組んでみてください。
また、
①数学が重要な科目であるということ
②数学を苦手としている生徒が多いこと
この2点からまずは数学から紹介したいと思います。
得意分野を作ること
「高校数学に得意分野はありますか?」周りの京大生に聞いてみました。
※ここでいう得意は、「まあ、この分野やったらある程度解けるんちゃうかな」と自分の中で相対的に自信がある状態のことを指します。
結果はこちら。
ご覧の通り、得意分野を持っている人が多数派です。
それでは、得意分野があるとどんないいことがあるのでしょうか?
1つ目:楽しく勉強ができる
数学好きは「解けた時の達成感が気持ちいい」とよく言います。
これは数学の魅力の一つであることは間違いなく、得意分野でどんどん体感していくことは大切です。なぜなら、「自分で自分をモチベート」できるからです。得意な教科は前向きに勉強ができます。一人でも黙々と勉強をするためには「自分で自分をモチベート」することが重要になります。勉強しながらも楽しさも享受できる時間を確保することは思った以上に効果を発揮します。要は自分にアメを与えることが大切なのです。
2つ目:試験本番の余裕につながる
これは実体験なのですが、京大の入試本番で指数対数が出て思わずにやけてしまいました。というのも、私は指数対数が得意分野で自信を持って解けると思ったからです。
得意分野があって初めて心の余裕につながります。
得意分野はどんな分野でも構いません。一夏をかけて、とにかく「この分野やったらある程度解けるわ」と自信を持てる分野を作ってください。
ちなみに、京大生が得意としている分野は第1位が微分積分(9票)、第2位が確率(8票)、第3位がベクトル(5票)でした。
問題の解き方改革
なかなか数学が伸びない生徒にはこんな2つ特徴があります。(自分にあてはまるかどうか確認してみましょう)
□ わからないとすぐに答えを見る
□ 答えを丸暗記する
つい答えを見てしまう気持ちはわかりますが、ある程度時間をかけて問題を解くことが大切です。
「数学は一つ一つの問題に時間をかけろ!!!!!!」
という意見があるように、数学に時間をかけることは大切なのですが、実際どのくらい時間をかけたら良いのでしょうか?
目安として多くても30分は考えてみましょう。
中には「数学アレルギー」な生徒もいると思います。30分も考えられない!という人はまずは5分。そして、次に10分と、少しずつでいいので思考体力をつけていってください。
答えの丸暗記はある程度は成果が期待できます。が、数学に必要な論理的な思考力がまるで身につきませんので、共通テストや2次試験では通用しないことが予想されます。
では、どのように勉強をしたら良いのでしょうか?
おすすめは、答えを1行ずつみていく
「1行勉強法」です!
私は分厚い青や黄色の参考書を常用していたので、それを参考に。
<1行勉強法-手順>
①参考書を開いて問題を解く
※この場合は例題109を解く
②5分から10分くらい自力で解いてみる。
③行き詰まったらヒントを見てもう一度5分から10分くらい解いてみる(この時答えは見ない)
※この場合は濃いオレンジの「指針」という部分です。
④それでも解けなかったら答えを1行ずつ見ていき、どこまでできていたかを確認する。
※この場合は参考書についている分厚い解答編を使って隠しながら見ていきます。
⑤答えを見て、新しい気づきがあったところでもう一度そこから自力で解いてみる。
このように1行勉強法では、答えをみる時にも数学で必要な思考力を鍛えることができます。問題の解き方改革こそ今みなさんに求められていることです。
夏休みで全国の受験生と同じ土俵で戦えるように、また一歩リードできるように、頑張りましょう!!
最後に
あれ???苦手分野は対策しなくていいの・・・?と思ったみなさん。鋭いですね。
最後の最後に一言だけ触れておくと、「苦手分野」を対策することは大前提になります。おそらく学校の先生や、ネットに載っている様々な記事にも「苦手を克服しろ!!!!!」と伝えていることでしょう。したがってあえてここでは触れませんでした。
きっと自分でも苦手を克服することは大事だとわかっていることでしょう。
しかし、苦手を克服するだけでは受験を制することは難しいと思います。
得意分野を作れるか、夏休みを有意義に過ごせるか、学校の先生や塾の先生を十分に利用できるか・・・
受験を制するためにはたくさんの要因がありますので、多角的に受験勉強に取り組むことは重要と言えます。
まずは、来たる夏休みに向けて勉強の工夫をしてみてください!