
食料環境経済学科?なにそれ?
京都大学農学部食料環境経済学科、通称「食環」。
一学年に約40人しかいないことから、数ある農学部の学科の中でもひときわ知名度の低い学科となっています。
現役京大生の中でも食環に所属する友人を持つ人は少ないのではないでしょうか?
そんな、レアな学科である農学部食料環境経済学科(食環)の実態はどうなっているのか?
今回は、実際に食環似通っていた私の視点から紹介させていただきたいと思います。

京大北部構内の様子
理系なのに、文系!?
ざっくりいうと食環は、食料・環境に関する諸問題を経済学の知見を生かして解決していくための研究をしています。学科名の通りですね。
したがって、実際に大学2回生の時には経済学部の校舎で経済学の授業を受けていました。
また、食環は経済学をメインに学ぶので生物・物理・化学についてガッツリ学ぶことはありません。
つまり、高校までのいわゆる「理科」の延長については学んでいないです。ただし、数学については経済学で必要なため学んでいます。
食環は天国!?
食環は天国です!というのも二つの観点から説明していきます。
ー真面目であれば単位が取れる
食環の授業は理系としては珍しく、出席点あり・レポート評価の授業が過半数を占めます。
したがって授業にでさえすれば単位がくるという、通称「楽単」である授業が多いです。(楽単とは、楽に取れる単位の略)
また、食環はラボ実験がありません。実際に農村を訪ねてのフィールドワークは存在しますが、工学部や理学部のように、白衣を着た研究室での「ザ・実験」というものはないです。
したがって、理系学生にありがちな「研究室での長時間拘束」というのがなく、
ー他の理系に比べ圧倒的に暇
先ほど述べたように食環は圧倒的に単位が取りやすい学科となっていることから、自分のために使える時間がかなり多いです。
したがって、学業はもちろん、部活やサークル、アルバイトを含め、様々なことに熱を持って取り組むことができます。
私も、興味のある他学部の授業を聴講したり、交換留学をするための勉強に励んでいました。
その他にも、交換留学をした人や部活の世界大会に出場した人、アフリカでインターンに取り組んだ人や、キャバクラで働いてナンバー1嬢になった人、学んだことを生かして起業した人など、いろんな人がいます。
食環って具体的に何が学べる?
さて、ここまで、やれ食環は楽だの天国だの散々アカデミックさに欠ける話ばかりしてきました。
しかし、食環では具体的にどんなことを学ぶことができるのかに興味を持つ人も多いはず。したがって、食環で学ぶ内容のさらに具体的なことにも触れていこうとおもいます。
研究内容は千差万別
研究室によって、研究内容はとても変わります。ここでは一例をあげていきます。
ー国際農村発展論
農村では、様々な制度により村人が助け合って農業を営んでいます。そのような制度はどのような経済原理を応用しているのか、経済学の視点から見てどのような制度を作るべきかなどを、中国などの農村をモデルとして研究しています。
ー森林経済政策学
森林経済政策学とはいうものの、行う研究内容は多岐に渡ります。
一例を挙げると、環境経済学分野において、理想的な森林保護を実現するにはどんな制度が必要かを実際の地域をモデルに研究しています。
他にも、森林というイメージからは離れますが、農村における人々の行動原理についても研究しています。
農村の人々が何を規範として行動しているのか、つまり平等性や自己利益など、どんな要素が農村の人々の行動に最も影響を与えるかを研究します。そして、実際の制度にどう応用するかについて考えます。
私が二回生の時に研究していたのもこの分野です。実際に京都の農村を訪れ、フィールド調査を行い、農村に住む人々の認知能力と合理性との関係を研究しました。
農村の人々の行動原理で一般的な認識と異なる部分があることがわかり、大変興味深かったです。
ー農業食料組織経営学
農業食料に関する経営を上手く行っていくための理論を研究するというものになっています。昨今話題となっている「6次産業化」や「アグリビジネス」といったワードに関連する研究を行なっているのがこの分野になります。
将来、農業関連で事業を興したいと考えている人にオススメです。
以上のように食環は、農業・環境に関する研究を多岐に渡って行うことができます。
進路はどうなる??
以上のような研究に興味のある人たちは、そのまま院進(大学院に進む)して、さらに深い研究に没頭します。
しかし、院進するのは約3割と理系にしては低く、大多数の人が学部卒業後そのまま就職します。
したがって、卒業後の進路としては、文系職へ就職することがほとんどです。
実際の就職先としては、文系学部と同様、金融・メーカー・コンサル・官公庁・ベンチャーなど、多岐にわたります。
ただ、やはり農学部であるため、食品メーカーや農業・環境系の企業・官公庁への就職を決める人が他学部より多いです。

京大北部構内の様子
まとめ
以上、食環はまさに、天国です。
農学部の中で入試の偏差値が低めで一見不人気だと思われがちですが、入学後の満足度は高いはずです。
これを呼んだみなさんが、ぜひ食環に興味を抱いてくれれば嬉しいです。