
この記事は専門学科対策塾リングアカデミー講師の坂上先生が書きました。
堀川探究学科群国語の特徴
堀川探究科高校の国語は、現代文・古文の2大問構成です。現代文では筆者の感情や感覚を豊かな語彙表現で書き表した文章が出題され、難解で感覚的な表現を、じっくりと自分の言葉で言い換えていく必要があります。古文では、本文の内容が把握できるだけでは不十分で、どのように古文のストーリーにオチが付けられているかを考える必要があります。
大問別分析
大問一(現代文)
小池昌代「鹿を追いかけて」より。筆者が鹿と対峙した経験や、鹿に関する詩を読んだ経験を振り返り、鹿という存在がどのようなイメージを筆者にもたらしているのかが描かれています。本年度は「先生のノート」という形で、設問の中で詩の読解の道筋が示され、その道筋にしっかりと沿って、詩を深く読み込んでいけるかが問われた点が特徴的でした。
大問二(古文)
与謝蕪村の文章より。今年度は絵が添えられた文章でした。文章自体はそれほど難しくないものでしたが、文章で何が描かれているのかを正確に把握し続けていかなければ各設問に正答できないものとなっており、難度は非常に高くなっています。
2021年度堀川探究学科群国語 至極の一問
問題
大問二 問5
二重傍線部Ⅹ「宇兵衛」とY「卯兵衛」は同一人物を指すが、この文章の作者である与謝蕪村は漢字表記を一部変えている。これは作者のどのような意図によるものだと考えられるか。文章【A】、絵【B】を踏まえ、「連想」という語を用いて説明しなさい。
解説
単に、課題文を現代語訳できればいいという問題ではありません。今回は宇兵衛という人物がどのような人物であるか(文章内で何を行っているか)を踏まえ、俳句の中では「卯兵衛」の「卯(うさぎ)」という漢字が用いられている意図を考える必要があります。まずは文章【A】と絵【B】の内容を把握しましょう。
文章【A】の流れは以下の通り。筆者は旅路の途中、九十九袋という里に宿泊します。夜になって、「ごとごと」と音が聞こえるため、不思議に思って外に出てみると、年老いた男が麦をついていました。そのあたりを歩き回ってみると、月の光や竹林を吹き渡る風など、美しい景色が広がっています。この男は、昼の暑さを避けて、夜に麦をついているのでしょう。「名前は何というのか」と聞くと、その男は「宇兵衛」と答えました。
一方、絵【B】は、ウサギが杵と臼を使って、何かをついている様子が描かれています。
これらを踏まえると、「宇兵衛」は「昼の暑さを避けて、夜に麦をついている人物」であることがわかり、与謝蕪村はそれを「ウサギ」に捉えていることがわかります。これはなぜなのでしょうか。
筆者は「夜に現れ、杵と臼を使っている宇兵衛」を見て、「ウサギ」を連想しています。これは、おそらく「月」というイメージが間に存在していると言えるでしょう。月は、夜に現れるものであるだけでなく、表面の模様が「ウサギが餅をついている」ように見えるとされます。このことは絵【B】に描かれているウサギの様子からも推測できます。この月の模様が、「宇兵衛」の様子を重なるものであったことを表現するために、与謝蕪村は「卯兵衛」という表現をとったのではないでしょうか。
つまり、与謝蕪村は「夜に現れ、杵と臼を使っている宇兵衛」を見て、「ウサギが餅をついているように見える月の模様」を連想し、このイメージの重なりを俳句に織り込むという意図で、「宇」を「卯」という漢字に変えたと考えられるのです。
まとめ
このように、堀川探究科高校の国語の問題は、本文の解釈ができればそれでよいというものではありません。その表現が用いられている意図や、表現上の効果を、自分の言葉で記述しなければならないと言えます。その対策としては、一般的な国語の問題を多く解いていればいいというものではなく、堀川探究科高校の国語に沿った、丁寧な対策を行っていく必要があります。特徴的な出題形式と、豊富な記述量の両方に対して、意識的な対策を行っていきましょう。
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