
受験の天王山とも呼ばれる夏休みを終え、9月以降はより実践的な演習を積む機会が多くなると思います。今回は私の受験体験を基にしながら、この時期の過ごし方についてご提案させていただきたいと思います。
大前提:過去問は使いまくろう!
「まだ自分は過去問演習をする段階にない」「1年分セットで解くために過去問は温存しよう」…そんなふうに考えている人いませんか?
確かに2次試験の行われる2月末までには、あと半年近く残されています。そう考えると過去問演習に取り掛かるのは、もう少し経ってからでも良さそうに感じてしまいます。
しかしながら、その半年のうち過去問演習にさける時間は微々たるものです。9月以降も平日は普通に学校がある上、休日には模擬試験も増えてくるので、その復習も必要です。12月から1月中旬まではセンター試験対策、センターが終わったら私立大入試へ向けた過去問演習…とあっという間に時が過ぎてしまうので、自分の好きなように京大の過去問演習をする時間はわずかです。
恥を偲んで書きますが、私は高校3年生の時に上記のように考えて9月からの演習を怠った結果、セットとしてまともに解くことのできた過去問は1年分しかありませんでした。結果として当然のように不合格となり、浪人して1年遅れで京大へと合格したのですが、演習不足を反省したこの浪人期ですら5年分を解くのがやっとだったのです。
もちろん自分の要領次第な部分もあるかと思いますが、合計で9時間に及ぶ試験問題を解いて採点し、わからない部分を消化するというのは想像以上に莫大な時間がかかります。したがって過去問を解かない理由が「もったいなさ」であるのならば、すぐにその考えを捨てましょう。セットで解く練習は模擬試験でもできるので、やはり豊富にある過去問は単純に本番レベルの問題を解く練習として活用するのがお勧めです。「25ヵ年」と呼ばれている赤本であれば単元ごとに問題を選定してくれているので、未習範囲が残っている公立高校生でも効率的に取り組めます。
前置きが長くなりましたが、以下では多くの人が受験科目とするであろう、理系数学及び化学での過去問演習の取り組み方について解説します。
①理系数学
・演習は30分!
数学は分かるまで考えて、数学的思考力を養うべきという意見もよく耳にします。しかし私は、数学の過去問演習は時間を30分に設定して演習をすべきと考えます。それはなぜか。まず分かるまで考えるとは何分後に分かるのでしょうか?それは問題や得意不得意によって様々であり、人それぞれです。思いつくかもわからない問題に数学的思考力の発展を望んで取り組むのか、どんな問題でも30分で解いた後に解答から数学的思考を学ぶのか。両者を秤にかけた時、最大効率で(低燃費で)成長することができるのは明らかに後者です!解答から数学的思考力を学ぶ方法は次の項でお話しします。
・数学はポイントを抑えろ!
まず、具体的な話からします。例えば、ある問題が最大値最小値も求める問題であるとします。この時、頭の中では
最大最小問題→微分
平方完成
絶対不等式(判別式・相加相乗・コーシーシュワルッツなど)
領域の利用
と言ったような思考回路に至ることができていれば、この問題の正解率は格段に高まります。本番までに必要な力はこう言った思考ができる力です。そのために必要なのがポイントを見極める練習です。ポイントと言ってもそんなに大袈裟なものではありません。その問題を解く上で重要だと思う、数学的思考(置換・文字消去など)や数学的手段(公式・定理など)を各問題につき3個程度箇条書きする程度です。例えば、2003年度大問3の問題だと、
・図形問題→ベクトルの利用
・垂直条件→内積の利用
・対称性の利用
です。別にこのポイントには正解がありません。自分が解くときに「キーになるな」と思うもので良いのです。最初は考えるのが難しいです!しかし、考えることに意味があるので根気よく続けてください。
②化学
・有機を早く正確に!
科学の勝負の鍵はなんと言っても、有機の問題(大問3・4)をいかに早く、正確に解けるか否かです!結論を言うと、化学での時間短縮を図ることができるのは有機のみです(理論での時間短縮はほぼ不可能)。そして、合格者は有機の問題でほとんど点数を落としていません。有機で正確にかつスピーディーに点数を取ることが必要不可欠なのです。
・有機は流れを把握しろ!
有機で大半を占める構造決定問題では文章中のヒントから知っている有機化合物を連想したり、構造を予想したりする力が必要です。高校化学程度で登場する有機化合物は有限個であるため、問題の流れも有限個しかありません。よって、演習を繰り返すことで、有機での問題と思考の流れがだいたいわかってきます。例えば以下のような流れが挙げられます。
問題文「2価のカルボン酸→(加熱)→酸無水物」
という問題の流れであるとします。この時は、
・マレイン酸→無水マレイン酸
・フタル酸→無水フタル酸
・コハク酸→無水コハク酸
といった流れがほとんどである、と僕は感じました。こういったものを演習するたびにノートでまとめることで、次回同じような流れが出たきたときに早く正確に解くことができます。
③まとめ
いかがだったでしょうか。京大の理系科目で得点を取るためには、天才的な思考力と言ったは必要ありません。今回私が一貫として伝えたかったことは、問題演習において大切なことは解答から何を学ぶかです。ただ答えを見て自分の解答の正誤を確かめるのではなく、精巧な解答から解く際に必要な思考の流れを吸収することこそ問題演習の本質です。そのためにもそういったポイントをしっかりノートか何かにまとめ、次似たような問題が出てきたときに、素早く正確に着想ができるように頑張りましょう!!