【各問分析】2021洛北算数 -合否を分ける問題は

2021年10月14日
小学生向け 受験対策/勉強法

この記事は、洛北附中(京都府立洛北高校附属中、洛北高附中)2021年度入試 算数の出題について、各問題の講評・難易度解説を紹介します。

過去問を解き終えた後に、

この問題はどのくらいの正解率だったのか?

合格のために、この問題は解けなくてはいけないのか?捨ててよいのか?

をご検討される際、お役立てください。

 

大問1 図形の規則性

1)文章から等差数列の和の求め方を読み取り計算に応用する【ア,イ :易 ウ 、エ :標準】

空欄ア、イ は問題文に書かれている求め方で計算する問題で、空欄ウ、エ は 求め方を用いてもとの数を予想する問題でした。

洛北附中で頻出の規則性からの出題であり標準的です。

空欄ア、イ は、問題文をそのまま当てはめて計算すればいいので、確実に正解したい問題です。

空欄ウ、エ は、求めたい値を逆算するのに大体の値の見当をつけて計算すること必要なので、難易度は少し高く、解くことができれば他の受験生に差をつけることができます

洛北附中対策専門塾「洛ゼミ」の通常講座のテキストではこのテーマを重点的に扱っており、塾生の正答率は極めて高い状況でした。

2)文章から等差数列の和の求め方を読み取り計算に応用する【やや易】

(1)空欄ア、イ 同様、問題文に書かれている求め方で計算する問題でした。

洛北附中で頻出であり易しいです、

問題文を焦らずに読み解ければ容易に解答できる問題ではありますが、その列あるタイルの枚数を勘違いしやすいです。

それを註意して計算することができれば答えにたどりつくことができます。

洛ゼミ通常講座のテキストでは、先程同様にこのテーマをそのまま扱っています。

 

大問2 実験結果から表面積の求め方を予測する 

(1)表面積の計算【ア:易 イ :やや易】

会話文の空欄に値を入れる問題です。

空欄アは直方体の表面積を求める問題でした。空欄イは立体の重さの増加量と表面積には比例関係があることから表面積を予想する問題でした。

空欄アは基本的です。空欄イは比例関係を使うという点で洛北算数頻出の内容と言えます。

空欄アは計算が教科書内容なので、確実に正解したい問題です。空欄イは問題文から比例関係を読み取ることができさえすれば計算できます。 

(2)表面積÷円周率を計算する【やや易】

会話文の空欄穴埋め形式です。イで求めた表面積の値を用いて、表面積÷円周率を計算する問題です。

近年の洛北附中入試で頻出の空欄穴埋め形式です。

イの値が正確に求められれば、あとは3.14で割るだけなので易しいです。ミスなく計算したいところです。

(3)表面積の求め方を推測し考え方を記述する【やや難】

説明自体が空欄になっており、それを補充する問題です。

求め方を一般化することが必要であり、例年ではなかった新傾向の問題と言えます。

"「具体的な事例から法則性を見つけること」や「法則性から立式すること」が必要であり、また、求め方を一般的に述べることが求められているため、難易度は高めと言えます。

このポイントを抑えて記述できた受検生は確実に合格に近づいたことでしょう。"

大問3 リボンを折って切り開く問題

(1)リボンを1回折って決められた比で切る【標準】

折り方・切れ込みの位置の条件からリボンの本数およびできるリボンの種類を答える問題です。

図形を折って切れ込みを入れ開く問題はH31年度やH29年度にも出題されており頻出です。

また、リボンを決められた比で切る問題はH29年度に出題されています。この問題はこの二つのテーマが融合した問題と言えます。

この問題には「『3つ折り』を問題文通りに解釈する」ことと「図形を開く途中の図を正確にかく」という2つのハードルがあります。

この2つのハードルを試験時間中に乗り越えることができるかどうかで差がつきました。

(2)切り分けたリボンの長さの条件から切れ込みの位置を決める【やや易】

すべてのリボンの長さが等しいことから、切れ込みの位置を決める問題です。

(1)と同様、頻出テーマが複合された問題と言えます。

切れ込みの位置を逆算しなければいけないですが、『2つ折り』という馴染みのある考えやすい題材だったので、(1)よりも容易です。

合格を目指す受検生は必ず正解したい問題です。

(3)リボンを2回折って決められた比で切る【標準】

リボンを2回「2つ折り」にして決められた比で切ったときのリボンの本数とリボンの長さを求める問題でした。

(1)(2)などの比較的想像しやすい問題を通して、少し複雑になった問題のヒントを与える問題は洛北算数でよくある形式です。

「2回折る」という動作が複雑な事象ではありますが、(1)(2)をヒントにすると正答の手がかりを得ることができます。

前問のヒントをうまく使うかどうかで差が分かれます。解ければ差をつけることができる問題です。

(4)白黒に塗り分けられたリボンを折り、決められた比で切る【やや難】

白黒に塗り分けられたリボンを2回「3つ折り」にして、切り分けたときのリボンの合計本数と白と黒が混ざったリボンの本数を求める問題です。

大問の中盤で新しく状況を追加する問題は頻出です。

この問題には「2回『3つ折り』にしたものを切り、開く」という関門と「白黒の境界の位置がどこにあるか」という関門があります。

この2つの関門に苦戦した人が多かったようです。これらの関門をクリアすることができれば、やすやすと合格圏内に近づくことでしょう

(5)切り分けてできたリボンの条件から塗り分けている様子を推測する【やや難】

リボンを2回折った後切り分けたときに、できたリボンの様子が条件として与えられています。その条件から、もとのリボンの塗り分け方を推測する問題です。

解答欄に長方形が与えられていて、実際に白と黒を塗り分けて答えます。

(4)と似た内容ですが、求めたい値は異なっています。

このように似た状況で聞き方を変える問題は洛北算数に頻出です。

2つ折り」にした後「3つ折り」にするというこの大問の中で最も複雑な折り方をしており、与えられた条件も扱いにくいです。

この手の問題は「いかに状況を手を動かして整理できるか」がポイントとなります。このポイントを押さえ、この問題を正解できた受検生は確実に合格に近づきました。

大問4 決まりにしたがってコースを周回する問題

(1)3人がコースを周回する時間を求める【易】

速さの計算問題です。

容易な計算問題で問題文を理解しているか問う問題は洛北算数で頻出です。

速さの公式をそのまま使うだけなので、確実に正解したい問題です。

(2)Aさんが初めて他の人と出会う時刻を求める【難】

Aさん、Bさん、Cさんの回る方向に注意しながら、Aさんが初めて他の人に出会う時刻を求める問題です。

また、そのときのBさん、Cさんの位置も求めます。

きまりにしたがって移動する向きが変わる問題は過去10年間で出題されたことがなく、新傾向の問題と言えます。

まず、「いつ、誰が、どの向きで歩いているか」を整理することが難しいです。そして、その動き方を考慮しながら出会う時刻を求めるのに多くの計算を必要とします。この問題では、受験者の中でほとんど差がつかないと考えられます。

洛ゼミのプラクティス(模試型実践演習講座)にて、本問の類題が出題されていました。

(3)全員が左向きに動いている時刻を求める【ア、イ:やや難 ウ 、エ :難】

きまりにしたがって動く向きを決めていったときに、全員が左向きに動く状況はいつか求める問題です。

ア、イでは初めてそのような状況になる時刻を求め、ウ、エ は2回目にそのような状況になる時刻を求める問題です。

実は規則性に注目できるかがこの問題のカギです。規則性は洛北附中入試でも頻出です。

ABCがスタート地点に戻ってくる時刻の規則性を発見することが、完答の第一歩です。この規則性を見つけて、それぞれの動く向きを整理することができれば正解することができますが、そこまでできた受検生は少数だったでしょう。