【高校生向け】六法全書だけじゃない!自由すぎる京大法学部の世界

2024年01月05日
高校生向け 学校/入試情報

京都大学法学部を目指す,あるいは視野に入れている高校生の皆さんは

京都大学法学部に対してどのようなイメージを持っているでしょうか。

 

今回はある法学徒(法学部生の通称)Aさんの過ごした京都大学法学部の4年間を見てみることで

受験を控えた高校生の皆さんに,少しでも京都大学法学部のイメージを持ってもらえたらと思います。

 

ある法学徒の4年間

1回生

・裁判官になるという夢をもち,期待に胸を膨らませて京都大学法学部に入学。

・現代の法曹に関する本を読み,最高裁判所裁判官の激務ぶりを知り,裁判官になる夢が打ち砕かれる。

・京都大学法学部における最初の専門科目「法学入門」「政治学入門」「家族と法」のテストを受ける。1回生の頃はまだ真面目だったので参考書を図書館で本を借りて勉強した。無事単位がきた。

・サークルが忙しくなり,講義に出なくなる。

・専門科目「民法第一部」の試験を受ける。講義にはほとんど出ていなかったが,とはいえ真面目だったので自分で進度に合わせて勉強していた。無事単位が来た。

 

2回生

・法学部の講義(民法・刑法・憲法・行政法)はほとんど聞かなくなる。

・趣味で受けたラテン語・ギリシア語の講義に没頭してしまう。しかし,後期の内容の難しさに諦めてしまう。

・法学部の講義で唯一まじめに受けていたのはローマ法の講義。

※ローマ法とは?

古代ローマの法について学ぶ科目。古代ローマの法は現代日本法をはじめとする西洋の法の源流にあるため,実は現代日本法とも強いつながりがある。

ラテン語ができる必要は無いが,内容はかなり難しい!!

 

3回生

基礎法学や,六法以外の法律科目を取るようになる。

※基礎法学とは?

実定法学(憲法,民法,刑法など,実際に機能している法に関して考察する)に対して,法の歴史や海外との比較,哲学的手法などを用いて,法に関する原理的な探究を行う学問。

法理学(法哲学),法社会学,英米法,ドイツ法,フランス法,西洋法史,東洋法史,日本法史などがある。

※六法以外の法律?

六法(憲法・民法・刑法・行政法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法)以外の法律科目のこと。

知的財産法,労働法,国際法,国際私法,経済法,倒産処理法,民事執行・保全法など,他にもいろいろある。

六法以外の法律であるとはいえ,社会における重要性は六法にも劣らない。勉強しておくと役に立つことがあるだろう。

・ゼミに入り,そこそこ難しい本を読むようになる。ゼミ論文の締め切りギリギリにゼミ論文を書き上げ提出。

※ゼミとは?

講義とは異なり,少人数で行われる授業。

文献や判例の講読,内容の発表,教員・学生も交えた議論,ゼミ論文の執筆など,ゼミによって様々なことを行う。

Aさんが所属していたゼミでは,前期に民主主義や全体主義に関する書物を輪読し,後期には自由に選んだテーマに関する論文を書いた。

京大法学部はかなり自由なので,ゼミも必修ではないが,講義より深い学びを得られることは間違いないため,受講することを勧める。

・サークルで会計係を務め,多忙を極めて講義どころではなくなる。なんとか卒業に必要な講義は取りきった。

 

4回生

・法学部の講義を取りきってしまったため,農学部や文学部の科目を受講する。

※他学部の科目?

京大では他学部の講義を比較的自由に取ることが出来る。法学部は卒業に必要な単位数が少ないので,余裕があれば興味のある講義を取ってみることをオススメする。

法学研究科に進むために,院試勉強を始める。院試ではできなさすぎて絶望するも,なんとか合格する。

※法学研究科とは?

ロースクール(法曹志望者が法律を勉強する専門職大学院,ロースクールを修了することで司法試験の受験資格が得られる)とは別にある,法や政治に関する研究を行う人が所属する大学院。

法学部からは毎年多くて5人程度しか進学しない,非常にマイナーな大学院である。

京大法学部のここがいい!

さて,Aさんの4年間を眺めてもらいましたが,これを踏まえつつ,京大法学部の特徴を見ていきましょう。

①必修がほとんどない

卒業までに必ず取らないと行けない授業は英語と第二外国語だけで,あとはみなさんが自由に授業を選択することができます。

法学部なのに民法などが必修ではない大学はそこそこ珍しいです。

また,卒業に必要な単位数も少なく,3回生のうちに要卒単位をそろえることもできます。

時間が空いたら他学部の講義を取ったりしてみるのもよいでしょう。

 

②進路選択が自由

法学部と言えばやはり法曹!といった感じで法曹志望の優秀な学生が多いので,法曹を志望している人には最適な環境です。

一方,法曹志望でない人も,政治学やその他の科目を取ることで卒業することが出来ます。

卒業後の進路にはロースクール進学,企業就職,官僚と,必ずしも法曹を目指す人ばかりではありません。

たまに卒業後すぐ司法修習に行ってそのまま弁護士になってしまう人や,学部を首席で卒業して法学研究科に進学するような,とんでもなく優秀な人もいたりします。

 

③試験一発!授業に行かなくてOK

法学部の講義の成績評価はすべて試験で行われます。

すなわち,講義に一切行かなくても,テストで点が取れれば,単位を取ることが出来ます。

そのため,授業を休んでサークル活動に勤しんだり,好きな本を読んで勉強したりと,自由気儘な生活を送りやすいです。

(ただし,法学部の試験はまあまあハードですので,試験に向けた準備は必要です。余裕ぶっこいていると試験でひどい目に遭います。)

 

さいごに

法学部を目指す人にとって,京大法学部の魅力はなんといっても「自由」であるところに尽きます。

筆者も不真面目な学生だったので,授業にはほとんど行かず,読みたい本を読んだり,サークルに行ったり,図書館で寝たりと,好き放題過ごしてきました。

高校までとは異なり,大学での「学び」は人から与えられるものではなく,自ら掴みにいくものであって,その「学び」は狭義の勉強で得られるものに留まりません。

この記事を読まれた方の中から,京都大学法学部の自由さを最大限活用して,自分なりの「学び」を得られたという人が現れることを祈っています。