解くためのものではない!ほとんどの人が失敗に終わる「チャート式」
大学受験生が一度は目にしたことがあるであろう「チャート式」。しかし,大半の受験生はそれを学校で買わされるだけ買わされて有効活用できずに受験生活を終えてしまいます。そんな,大量の受験生を苦しませている「チャート式」の使い方・選び方を京大合格者が解説します。
そもそも「チャート式」という参考書...
大前提として,「チャート式」を解くために使うのは大間違いです。「青チャート」を例にとると,数学ⅠAの例題が350題,数学ⅡBの例題が356題と,とても人間がすべて解くように作られているとは思えない量をしています。
じゃあ,「チャート式」が意味がないのか,と言うとそうではありません。
実は,「チャート式」は受験数学界の辞書なのです。
そう,辞書。和英辞典とか,国語辞典とかのあれ。
なんなら「チャート式」を積み上げると,普通の辞書よりも分厚くなりますね。
皆さんは辞書をすべて読み込んだことはあるでしょうか。
ないですね。
しかし,辞書の引き方ならわかる,という人は少なくないはずです。
「チャート式」も同じなのです!!
正しい「チャート式」辞書の引き方
「チャート式」が辞書であることは先に書いた通りです。では,どのように「チャート式」辞書を活用すればいいのでしょうか。
辞書を引くのに最もよく使用するのが索引です。ただ,「チャート式」の場合は,例題のテーマが索引の代わりになってくれます。
例えば,次のような問題を考えてわからなかったとしましょう。
四面体OABCが次の条件を満たすならば,それは正四面体であることを示せ。
条件:頂点A, B, Cからそれぞれの対面を含む平面へ下ろした垂線は対面の重心を通る。
ただし,四面体のある頂点の対面とは,その頂点を除く他の3つの頂点がなす三角形のことをいう。
[京都大学文系(2016)]
このとき,これに似た問題を「チャート式」から探し出すのです。例えば,「青チャート」だと,青チャート数学Aの例題77「三角形の外心・垂心と証明」がこの問題に似た問題となっています。ぱっと見は似ている問題には見えませんが,青チャートの使い方が慣れてくると,似たような問題であるとすぐに気づくことができます。また,青チャートの問題のテーマを参考に探すと非常に効率的に探せます。
究極的には,この青チャートの問題を何も見ずに解けるようにし,さらに,それを応用して,この京都大学の問題が解けるようになれば良いのです。
どの「チャート式」を選べばいいの?
「チャート式」の使い方は分かった。でも,本屋に「チャート式」が多すぎて,どの「チャート式」を選べばいいかわからない。
そんな,お悩みをお抱えのあなた。実は,これも辞書と選び方は同じなのです。
「チャート式」は主に「赤チャート」,「青チャート」,「黄チャート」,「白チャート」の4種類があります。難易度はこの順に高くなっています。
例えば,「数学は共通テストで使うだけで2次試験には使わないAさん」が「赤チャート」に手を出したとしましょう。
これは,「英語習いたての小学生」が「5000ページの英英辞典」を使っているようなものです。さすがに,不必要なものが載っていすぎて,手持ち無沙汰になってしまいます。
難関国公立大学で数学を得点源にしたい場合は,「赤チャート」
2次試験に数学があり,数学力を適切に身に着けたい場合は「青チャート」
2次試験に数学があるが,数学が苦手で最低限の数学力を養いたい場合や,共通テストでしっかりと得点したい場合は「黄チャート」
学校の数学の授業に追い付いて,定期テストでいい点数をとるためには「白チャート」
がいい目安になるでしょう。
さいごに
正しく「チャート式」を使った,効率のよい数学の勉強について理解できたでしょうか。「チャート式」と別の参考書,過去問を組み合わせて使用すれば,相乗効果で2倍,3倍もの実力が身につくこと間違いなしです。ただし,今回挙げた勉強法はあくまで一例であり,自分で適切な勉強法を模索しつつ,受験に向かって走っていきましょう!!