【京都府高校入試 専門学科 最新入試分析】2023年度 西京高校 理科

2023年10月02日
中学生向け 受験対策/勉強法

総論

西京理科(50分 100点満点)

小問数が45問とやはり圧倒的に多い。(他の高校だと大抵20問程度)大問数は3つだが、それぞれさらに細かいパートに分かれているので、あまり意味をなした数字というわけではない。

これだけ問題が沢山あるので当然文章量も多くはあるのだが、他の専門学科3校と比べると1つ1つの文章が短く、また登場する図や表も単純なものが多いので、典型的な問題をいかに早く解いていけるかが全体の点数に大きく関わるだろう。合格者平均点は6割5分ほどで、平均的な難易度感である。

 

大問別講評

大問1

(A)

エレベーターを題材に、運動の速さについて扱っている問題。会話文が少し長いが、文章をヒントにグラフを見れば、あまり時間をかけずに正解に辿り着くことができる。

(B)

凸レンズの標準的な問題。凸レンズ単体でここまで単純な問題が出ることは稀。全問正解したいところだ。

(C)

2014に理科入試を導入して以来、西京高校の入試で浮力の問題が出題されなかったことは一度もない。さらにほとんどの問題でアルキメデスの原理(教科書発展内容)を利用しており、問題文中にも説明はあるのだが、西京受験生であれば説明なしにアルキメデスの原理を使えるようにしておきたい。浮力の問題は難しいものが多く、試験本番で結果的にとかない選択をすることもあるとは思うが、必ず対策はしておくべきである。

(D)

電流がテーマの問題。文字が多く混乱してしまいそうだが、抵抗の値は具体的に判明しており、落ち着いて計算すれば全問正解できるだろう。

大問2

(A)

炭酸水素ナトリウムと塩酸の反応(実験1)及び、炭酸水素ナトリウムの熱分解(実験2)がテーマ。気体の発生する化学反応実験の問題は専門学科では頻出で、発生した気体の質量に注目して解いていけば良い。ぱっと見計算問題が多く、解くのを躊躇してしまいそうだが、(3)が中1レベルの濃度の計算問題であるように、瞬殺できる問題が紛れているので、見落としがないようにしたい。

(B)

「1799年にジョゼフ・ルイ・プルーストによって...」という出だしで緊張が走るが、結局のところこれもよく見かける金属の酸化がテーマであって、(1)~(3),(5)に関しては文章をほとんど読まなくても解答できる基本問題なので絶対に得点したい。

 

大問3

(A)

基本的には金星の位置と見え方を問う典型的な問題の集合で、そこに部分的に火星の話が加わっている。パートを通しての考え方は同じであり、難易度は低い。

(B)

生き物の構造をテーマにしたパート。(1)~(3)はタマネギの細胞分裂についての実験についての問題となっているが問題同士の関連性はほとんどなく、(2)(3)は標準的な問題なの正解していて欲しい。(4)(5)はオの選択肢(ア〜エの中に正しいものはない)があることに多少難易度が上がっている。

(C)

生物の進化をテーマにしたパート。(1)~(3)は標準的な知識問題。(4)(5)も知識問題だが難易度はかなり高い。また(6)は長文に書かれているカンブリア紀の動物らの関係性についての記述問題だが、この手の完全な初見内容に関する考察問題は一朝一夕に対策できるものではないので、解答できなくても致し方ない。(もちろん本番では何かしら書くべきではあるが。)(7)は系統樹を作る問題で、こちらの問題もレアな形式なうえに、表の数字は塩基配列の違いなので、間違えた人が多くなったのではないかと思われる。

 

まとめ

50分という時間に対して、小問が45問なのは、量として圧倒的に多い。文章量も多いので過去問演習のときに集中力が切れてしまうことも考えられるが、1問1分ペースで解いていく感覚を自分でモノにしてから受験に臨んでほしい。ストップウォッチを使い、各パートごとにどれだけ時間がかかったかを記録しておくのも手だろう。また大問別講評に記した通り、ところどころ厄介な問題があるものの、ペース的に無理なく解き切れるような難易度設定がなされているので、素早く丁寧に解くのが合格の鍵といえる。そのためにも基礎を盤石なものにしておくのは必須なので、苦手単元の教科書は今すぐにでも読み返すことを強く勧める。