~素数に関する整数問題~【今週の一問】その1

2024年06月16日
高校生向け 受験対策/勉強法

~素数に関する整数問題~難易度★★

問題

$2^p+3^q=5^r$となる素数$(p, q, r)$の組は存在するか.存在するならば,それをすべて求め,存在しないならば,そのことを証明せよ.

素数に関する問題です。入試標準レベルの整数問題がしっかり理解できているなら,できてほしい問題です。

まずは,実際に解いてみて,できなかったら解説を読んで,理解できなかったところを重点的に復習しましょう。

 

 

解答

$2^p+3^q=5^r$を満たす素数$(p, q, r)$の組が存在すると仮定して矛盾を導く。

$p$は素数であるから$2$以上なので,$2^p$は$4$の倍数であり,

$$(-1)^q≡1    \mod4$$

となる。

したがって,$q$は偶数であり,また素数であったから,$q=2$となる。

よって,$2^p+9=5^r$であり,

$$2^p≡1    \mod5$$

となる。

ここで,$5$を法として,$2≡2,2^2≡4,2^3≡3,2^4≡1,2^5≡2$から,

$$2^p≡1   \mod5$$

を満たすような$p$は$4$の倍数であることが分かり,$p$が素数であることに矛盾する。

以上より,$2^p+3^q=5^r$を満たす素数$(p, q, r)$の組は存在しない。■

 

 

思考とプロセス

整数問題を解くときは,大きく3つの原則があります。

整数問題の3つの原則

①.積の形に分解する。($a^2-b^2=(a+b)(a-b)$の式を使うことが多い気がします。)

②.何かで割った余りに着目する。($3$か$4$で割った余りに注目することが多いですね。)

③.範囲を絞って考える。

基本的にはこの3つの原則があり,これで無理だったら別の方法を考えましょう。

 

それでは実験していきます。$p, q, r$がすべて素数であることに注意してください。

$(p, q)=(2, 2)$のときは,$2^2+3^2=13$となり,これではだめですね。

$(p, q)=(2, 3)$のときは,$2^2+3^3=31$となり,これもだめですね。

$(p, q)=(3, 3)$のときは,$2^3+3^3=35$となり,これもだめですね。

なかなか見つかりませんね。

では,3つの原則について考えてみましょう。

積の形には......できませんね。

では,余りに着目してみましょう。実はこの方法がうまくいきます。

$\mod3$で考えてみると。

$$2^p≡(-1)^p$$

$$3^q≡0$$

$$5^r≡(-1)^r$$

となるので,$(-1)^p≡(-1)^r$となり,$p$と$r$の偶奇は一致することが分かります。

しかし,これだけでは何もわかりません。

$\mod4$で考えてみると,$p$は$2$以上なので,

$$2^p≡0$$

$$3^q≡(-1)^q$$

$$5^r≡1$$

したがって,$(-1)^q≡1$となるので,$q$は偶数です。さらに,$q$は偶数なので$q=2$ということが分かります。

この情報はかなり大きいですね。

$2^p+9=5^r$ということが分かりました。

さらに$\mod5$で考えてみると,$2^p≡1$となるので,$p$は$4$の倍数であることが分かり,$p$が素数であることに反します。($5$を法として,$2≡2,2^2≡4,2^3≡3,2^4≡1,2^5≡2$から,分かりますね。)

これで,問題を満たす$(p, q, r)$の組は存在しないことが分かります。

ここから,解答を書いていきましょう。