【京都府高校入試 専門学科 最新入試分析】 2024年度 桃山高校自然科学科 

2024年05月15日
中学生向け 受験対策/勉強法

国語

総論

例年の問題の傾向

毎年、桃山高校自然科学科の国語試験は大問2つで構成されています。大問1の評論では事象を総合的、統一的に解釈し、説明する評論が多く出題され、大問2の古典では物語が中心です。それぞれの問題数は大問1、2ともに約10問で、大問1では記述問題が2題、大問2では抜き出し記述が多いです。

評論の記述量は年によって異なりますが、近年は100字を超えるものが多くなっています。また古典では、毎年現代仮名遣いの問題が出題されています。近年の傾向として、課題文に対して会話形式で議論した文章を読み、問いに答える形式が出題されています。これらの問題も合わさって、時間を意識する必要が高く、「限られた時間内で得点しやすい問題を落とさない」ことがポイントとなります。

今年の問題の特徴

現代文の題材は、事象に対して哲学的評価を行う点は変わりませんが、内容としては「今と昔」という観点から二項対立で捉えることが比較的容易な文章構成でした。記述問題は、自分で一から文章を作るのではなく、文章中の言葉をテーマに扱うことが多く、取っ掛かりやすかったと言えるでしょう。

古文の記述量は増えていますが、依然として書き抜きが多いです。数年前は選択問題が多かったですが、近年は書き抜きとして書かせる傾向が続いています。

大問別講評

大問1

「かつての自然」と「現代における自然」を比較しながら論を進める問題でした。小問自体はそこまで難しくありませんが、問題数が多く、全ての問題に全力で取り組むことは難しいでしょう。新傾向の問題は、一読して理解ができなければ、後回しにした方が良いでしょう。

大問2

夢占いに対する常識が必要なテーマでした。主語判定・現代仮名遣いの問題も出題され、基礎ができているかを問われていた問題が多いです。

今年の一問

問題

大問一(3) 次に示した、本文中の囲み部分(    )には三つの文があるが、傍線部a~eの要素を並び替えて同様の意味の一文に書き改める場合、その順序として適当ではないものを、後のア~オから二つ選び、記号で答えなさい。

aこのような主張に先だって、bわれわれは c自覚しておかなくてはならないことがある。d自然の概念がすでに大きく転換してしまっていること -あるいは少なくとも転換しつつあること、このことを、である。e「自然」から<自然>へと。

 

解答・解説

 難易度自体は高くない問題でした。課題文の内容を理解していなくても解ける問題です。しかし、桃山対策をしっかりとしてきた生徒にとっては、今までにない形式の問題に面食らったかもしれません。

 こういった初見問題への戦略としては、後回しにする、という方法が挙げられます。一読しても理解できなかった場合、その場では解かず、最後に考える時間をとり、落ち着いてしっかりと向き合うのです。新問は難易度が低い傾向にあるので、冷静に対処すれば正解することができるでしょう。

まとめ

今年度の難易度は、昨年度と同程度といえるでしょう。現代文では新傾向の問題が一問出題され、例年通りの解法が通用しない場合があります。しかし、難易度や他の形式に大きな違いはなく、例年と同様、限られた時間内でどれだけ点を稼げるかが課題です。たとえば、現代文では「記述問題で空欄を作らないようにする」こと、古文では「主語判定や現代仮名遣いで点を落とさないようにする」ことが重要です(当たり前のことのように思えますが、時間圧迫下では多くの受験生がこれを実行できません)。

夏までに行うべき対策としては、「長い現代文を読み切る集中力を養うこと」と「古文に慣れること」が挙げられます。現代文では、自然哲学を題材にした長文を多く解くと良いでしょう。古文では、中期入試や他の私立高校の古文問題を解くことが有効です(市販の参考書でも良いと思います)。

桃山高校自然科学科の国語入試における推奨時間配分は、評論30分、古文15分、予備5分です。まずはこの時間内に課題文を完読し、全問に着手できるような力を身につけましょう。

 

英語

総論

今年度の桃山自然科学科の問題は,「会話文の空欄補充」,「長文読解2題」、「英文内容に基づく英作文」によって構成されており、全体の構成は例年通りであった。今年度の特徴は、長文問題の内容・設問ともに前年度より易化した点だ。桃山高校自然科学科の英語では、毎年「科学」をテーマとした英文が出題されるのが特徴である。そのため、科学的な実験・結果・考察・結論といういわゆる理系的な内容が英文の中に登場し、それらを正確に読み解いていかなければならない難しさと独特さがある。しかし今年度は、第3問が動物の観察を基にした長文ではあったが、例年のような実験や数値を整理しながら読む必要はなく、比較的理解しやすい問題であった。桃山英語では、長文問題や英作文において単語の並び替え問題(整序問題)が必ず出題されている。これを完答するには、正確な文法知識が必要不可欠である。英作文では、例年指定された字数内で自由に英文を書かせる問題が出題されており、字数はたいてい10語程度以内で分量はさほど多くないが、英文が読んで理解できるだけでなく、正しく英文を作れる単語力と構文力を身に付ける必要がある。今年度の入試は特に長文問題が易化し、受験生の間で差が付きづらかったと予想されることから、第1問や第4問の会話文問題、英作文問題でいかに点数を落とさず解答できたかが、合否を分ける重要なポイントであっただろう。

大問別分析

1【難易度:標準】会話文

例年同様の、会話中の空欄に文意が一致するように複数の選択肢の中から選ぶ問題である。前年度は会話文一つが出題されたが、今年度は比較的短めな、異なる二つの会話文が出題された。会話文の問題では,空欄の前後の文脈を5W1Hに注意しながら読み進める必要がある。今回は空港での旅行客と従業員の会話が出題され、空欄直後の発言に対応する、文脈的に自然な質問文を選べるかどうかがポイントであった。語彙は比較的易しいが、日常的な会話の一場面が切り取られることが多いため、日常的な会話表現も正確に押さえておくことが大切だろう。また体育の授業数についての会話では、一方が肯定的、もう一方が否定的な立場をとっている状況を整理しなければならない。話題転換のきっかけとなる質問文が空欄にされる傾向があり、「どのような質問によって直後の返答文が促されたか」「直前の内容を踏まえてどのような質問が展開されるか」を正しく判断することが大切だ。

2【難易度:標準】長文総合問題

 今年度は登山家の人生について述べた英文が出題された。解くのに苦労を要する設問は特になく、前年度に比べて設問数も減少したため易化したと言える。時系列順に話が進み、内容は比較的追いやすい。ただ問6では、抽象的な下線部の内容に対応する具体例を本文から探し出し、規定字数内で解答する必要があり、抽象的な意味の解釈と該当箇所の要約に時間を要した受験生も多いだろう。本文の英文を直訳すると字数をオーバーしたり、あるいは少なすぎたりする場合もあるため、内容をすばやく簡潔にまとめる要約力も磨いておくことが大切だ。その他設問では、説明文では頻出の「指示語の説明」や「具体的な内容説明」が記述問題として出題され、適切な単語を適切な形に直して解答する空欄補充問題や整序問題も出題された。中には、下線部が指定されず、指定段落以降から「筆者がチームワークを必要とする理由」を答えさせる問題も見られた。このような問題に対しては、問題文を先読みし、あらかじめ答えるべき内容にアンテナを張っておくことで、本文をわざわざ読み直すことなく、効率よく答えを探し出すことができるだろう。このように、効率よく問題を解き進める工夫をすることも大切である。

3【難易度:標準】長文総合問題

 第3問は、ゾウの優れた能力に関する英文であった。ゾウの記憶力や行動に関する科学調査の内容を基にしており、「科学」に関する英文を出題するという桃山高校自然学科の特徴を踏襲していた。ただ、実験や数値は扱われていなかったため、例年に比べて読みやすい文章だった。指示語の説明や整序問題は第2問と同様に出題されており、文法の正確な運用力は長文問題の中でも抜かりなく問われている。やはり文法力の基礎を疎かにしてはならない。逆に言えば、これら文法問題は確実に正解して得点に繋げたいところである。また問6の選択問題は、本文全体から該当箇所を探す必要があるが、選択肢の文が本文とは言い換えられ、別の同義表現に変わっていることに注意しながら慎重に解きたい。

4【難易度:標準】英作文

 大問4は,グラフを読み取り,その内容について英語で表現するという問題となっており,例年通りの傾向だった。グラフの表題や項目は日本語で書かれる場合と英語で書かれる場合があるが、読み取るべき内容はわかりやすく、あとは「文法知識を正確に使いこなし、グラフとの整合性を確かめながら英語で表現すること」が求められる。出題形式は、グラフについて書かれた説明文の空欄補充をするもので、単語の整序問題と、自力で文脈に合う英単語・英文を考え答える問題の主に二軸であった。要求される単語力は易しいが、自分で適切な単語を考え、適切な形に直して答える文法力が必要である。文法事項を暗記するだけでなく、ケアレスミスに注意しながら、自分で正しく文法を運用できる力を身に着けておこう。

分野別分析・対策

語彙力・文法

 まずは学校で扱う基本的な単語をスペルの間違いのないように正確に書ける力を養う必要がある。桃山英語の文法問題はスピードを意識してかつ間違いのないようにしなければならない。とにかく「基礎力」をおろそかにしないよう心掛けたい。

長文読解

 桃山英語では、各段落で何について記述されているのか把握しながら読み進めることが必要である。特に理系的な文章は頻出なので、事実や具体例と、そこから導かれる結論を整理しながら読んだり、物事の因果関係を正確に読み解いたりする力が必要である。そのためには、指示語の指す内容を意識すること、ディスコースマーカーに注意しながら読むことが大切である。ただ、近年の入試で小説が出題されたことがあり、今年度入試も登山家の人生史がテーマとなるなど、必ずしも理系的文章に偏った出題とは限らないため、幅広い英文に触れておきたい。

英作文

 桃山英語の英作文は、グラフを読み取り本文の空欄を適切な英語で埋める問題であり、要求される単語力は易しく文字数も多くはないため、正確に得点したい大問である。英作文の対策として、教科書に出てくる基本レベルの文法を確実に覚え、様々な英語表現を覚えることが必要である。その際スペルや自制などで細かいミスをしないように正確に書けるようにしていきたい。

今年度至極の一題

大問2問6 下線部(5)に関して、エドマンドは具体的にどのようなことをしたか。本文の内容に即して、15字以上25字以内の日本語で答えなさい。ただし句読点は字数に入れないものとする。

 

下線部(5)は、think about other people who don’t have all the nice things you have, and do the things you can to help them.である。

下線部を含む文は、エドマンドのような行いを読者の皆もすることができると筆者が呼び掛けている部分である。下線部を和訳すると、 「あなたが持つ素敵なもの全てを、持たない他人のことを考え、彼らを助けるためにできることをする」となる。この内容に該当するエドマンドの具体的な行いを本文から探すと、He used the money to build schools, hospitals, and roads.の記述が見つかり、さらに前の内容からthe moneyとはエドマンドが登山家として有名になり、自身の著書を出版して得たお金のことを指しているとわかる。したがって、ここの内容を規定字数に収まるようにまとめればよい。

 下線部が長く、抽象的な内容でわかりにくい。そのため、まずは関係詞や接続詞に注意して下線部の意味を正確に捉える作業をしよう。そのうえで、該当部分を過不足なくまとめる作業が必要だ。

 

数学

概要

試験時間50分,大問数6,小問数17であり,例年より少な目の問題量であった。前年度と同様,それ以前のものより難化の一途をたどっている。傾向については,昨年度からかなり変わった。毎年出題されていた立体の切断問題はなく,難解な平面図形が出題され,また昨年度猛威を振るった約束記号(たとえば,をを超えない最大の整数,と約束した記号を問題文で導入し,その記号についての性質を問う問題)が今年は息をひそめ,その代わり一次関数の利用の問題が出題された。このように,専門学科入試ではあまり出題されない分野もいくつか出題されていたことから,教科書内容の広範囲にわたる正確な理解と,問題文をしっかり読み解く力が試されているように感じる。

大問別分析

1 小問集合

例年より少ない2問の構成であった。内容としては例年通り,方程式や文字式の計算と図形問題という構成であった。(1)については,「解と係数の関係」を知っている人であれば簡単だが,知らないと難しい問題であった。(解と係数の関係とは,二次方程式の解がを満たすという性質のこと。)
2)は,立体図形の問題であった。体積比と底面積比の関係を問う問題であり,このような体積比の考え方は桃山受験生はしっかり押さえていてほしい。

2 統計

毎年かならず出題される統計分野である。2問構成と,例年と変わらず。桃山の自然科学科は,やはり自然科学を売りにしているため,自然科学の本質である実験と観察に必須となる統計分野へのある程度の理解を求めているのであろう。この傾向は来年以降も続くと考えられる。

難易度としては,例年とかわらず教科書+α程度であった。統計分野は難化させることが難しい分野であるため,得点源となる。受験生は,しっかりと得点してほしい。

3 場合の数

問題設定,難易度ともに,教科書から逸脱しないレベルであった。確率の基本である,全パターンを書きだして,そこから条件に当てはまるものを数えるということができれば解ける問題であった。他の大問と比べ解きやすく,簡単であったため,この大問はしっかり得点したい。

4 平面図形

ここ数年かならず出題されていた立体図形は消え,難解な平面図形が出題された。大きく傾向が変わった問題であった。相似,円,三平方という中3最後の図形を総動員させねば最後まで解ききれない難問である。

1)(2)は長さを求める問題だ。長さの情報が半径の長さしか与えられていないため,まずはわかるところから図に書き込み,また円の性質(直径の)と三平方を使うことで。長さがわかる。また,(1)(2)での直角三角形があるからに気づくことができれば,以降の問題の見通しが良くなる。

3)(4)はかなり難しい。特に(4)は,CGDCが垂直に交わることがわかれば,△AFGのうち△ABGを等積変形し,ひし形ACBFを求めることで面積が求まる,という問題であった。全体的に難しいが,実は(1)から(4)まですべてつながっており,前問がヒントとなっている構成であった。このような図形の難問では,前問で得た情報を使うことで解ける,ということを認識しておくと,多少は解きやすくなるであろう。

5 関数

一次関数の利用の問題であった。音楽アプリの料金プランを,一次関数を用いて解析しようという問題である。桃山の自然科学科だけでなく,専門学科全体でほとんど出題がないため,受験生の多くはあまり対策していなかったと考えられる。しかしながら,題材は教科書に必ず掲載されている内容であるため,受験生は押さえておきたい。

3)は,一般的な一次関数の問題とは異なるが,各選択肢の違いが何であるかをまず把握することが肝要である。この問題では,十分が大きいときに,ABCの交点が一点で交わるか,BCの交点の座標がABの交点の座標より大きいか小さいかが選択肢の違いであったため,それぞれの交点を具体的に出すことで判断できる。

また,選択肢の問題は,わからなくても適当に書いておけば何分の1かで正解するため,模試などのときでもとりあえず埋めておくべきである。(道徳的には勧められた行為ではないが…)

6 整数問題

例年多く出題されていた約束記号問題ではなく,素朴な整数問題であった。しかしながら,受験生間の整数や文字式に対する慣れやテクニックの差異から,差のつく問題であったと推測される。(1)は,からという式を用いて,を導くという問題の類題である。

(例題:)

この手の問題は頻出のため,受験生各位には解きなれていてほしい。

2)は,素朴に,をの式で表すことで示せる問題であった。それほど難しくはないため,記述がしっかりできているのかというポイントで差がつくところであろう。

数学の記述問題では,前の文章から説明不足なしに直ちに次の文章が導かれるような記述が求められる。つまり,友人に見せるとほぼ全員が一読しただけでわかるような記述が求められる。これを指標にするとよう。

対策

桃山高校自然科学科は,その名のとおり自然科学に重きを置いた学科である。他の専門学科とは異なり,自然科学を探求するにあたり必須となる思考(傾向をガラリと変えても,柔軟に対応できる思考力)を求めているように感ずる。かなり高度なことを要求しているように思われるかもしれない。しかしながら,そのような柔軟な思考は,問題を解く際に自分で色々と試行錯誤をして解答にたどり着くという練習を積めばよい。例えば,難問と言われる問題を解いてみて,1回の失敗でめげずに何度かトライする執念が大切である。

また,当然ながら柔軟な思考ができるまでには,基礎知識や典型的な解法をすばやく取り出す力が必要である。すなわち入試頻出のパターンをきちんと覚えて,適切な場面で使う力である。柔軟な思考の基本は自分の持っている基礎知識を組み合わせることにより難しい問題を解決することである。毎回0から解答をくみ上げることではないことに注意しよう。

 

理科

総論

小問数は2023年度の21問からほとんど変わらず全19問。大問数は3つで、大問1が小問集合というのも近年の傾向通りであった。大問2、3ではそれぞれ1テーマについて出題がなされるが、知識問題は4問ほどで残りのすべてが計算問題であった。今年度は大問2のテーマが人体の血液循環だった影響で知識問題が増えた形となったが、例年小問のほとんどが計算問題であるので今年度は知識があればスピード感を持って解答しやすかったセットだったと思われる。

全体の難易度としては例年の平均~やや易といった感じで合格者平均も例年7割程度と高く出ているので、素早く正確に計算を行うことを心がけてもらいたい。

大問別講評

大問1

近年の傾向通り、大問1は小問集合となっている。極端に難しい問題が出ない限り、この大問を素早く正確に解くことが高得点の鍵となる。(1)(2)は教科書レベルの知識問題なので、全問正解してほしい。(3)は図から状況を正確に読み取れれば正解できるはずである。(4)は専門学科入試で頻出の原子の質量比の問題であった。中学校ではあまり重点的に習わないトピックだが、しっかりと対策をすれば確実に得点できるだろう。大問1だけで小問数は9個と全体の半分近くを占めるので、しっかりと得点していきたい。

大問2

今年の大問2のテーマは「人体の血液循環」であった。テーマとしては典型的で、知識問題が全体の半分ほど、残りが計算問題であった。人体の分野の計算問題はなかなか解き慣れない受験生も多くいたと思うが、うまく状況をイメージできれば計算式自体は単純なので比較的得点しやすい大問であった。(3)の知識問題は受験生の理解度が問われている一方で、問題文を正確に読めば答えがわかるような巧みな出題でありこのような問題を取りこぼさないことが合格への鍵になる。

大問3

今年の大問3のテーマは「家電の使用電力量とその料金」であった。身近なテーマでイメージはしやすかっただろうが、ところどころ計算が煩雑な部分があり受験生は苦戦しただろう。WWhといった単位の持つ意味を正確に理解していることがこういった問題を得点できる鍵となる。日頃から単位の持つ意味に注目した学習をしてほしい。(1)~(3)は基本的な計算問題で問題集をしっかり解いてきた受験生は解けるだろうが、(4)の計算問題は特に(c)など複雑で捨てるべき問題に当たるかもしれない。このようにハイレベルな問題が出ることを覚悟しておくことも大切である。

今年の一問

大問23

次の(ア)~(エ)の下線部が正しいと判断されるものを2つ選び、記号で答えなさい。

※実際の試験問題ではヒントとなる文章が本文中にあるが、受験生は選択肢のみで解答できてほしい。今回は省略している。

(ア)心臓から肺に向かう血液の量はじん臓から心臓に戻る血液の量よりも少ない

(イ)肝臓から心臓に戻る血液の量は心臓から肝臓に直接向かう血液の量よりも多い

(ウ)肺から心臓に戻る血液の量はじん臓から心臓に戻る血液の量よりも少ない

(エ)心臓から腸に向かう血液の量は肝臓から心臓に戻る血液の量よりも少ない

 

解答・解説

正解(イ)(エ)

(ア)心臓から肺に向かう血液は全身を廻った血液が集約したものであるから、じん臓から心臓に戻る血液の量よりも多い。よって不正解。

(イ)肝臓から心臓に戻る血液の量は心臓から肝臓に送り出した血液と腸でブドウ糖やタンパク質を吸収した血液の量の和であるので正解。

(ウ)肺から心臓に戻る血液はこれから全身を巡る血液であるので、じん臓から心臓に戻る血液よりも多い。よって不正解。

(エ)心臓から腸に向かう血液は肝臓を経由するので肝臓から心臓に戻る血液の量より少なくなる。よって正解。

冷静に知識を当てはめていくと解ける問題であるが、試験本番で焦っていると正確に問題文が読めなくなりミスが多発する問題といえるだろう。

 

ポイント

一般的な問題集によく載っている基本問題は「Q.地震の規模の大小を表す指標をなんというか?」「A.マグニチュード」という11答パターンが多い。こういった問題を解くのももちろん効果的だが、分野ごとに整理された11答では、正確な理解抜きにしても正解できてしまう。

一方で桃山高校自然科学科をはじめとする専門学科では、上の問題のようにその一歩奥の知識をどのように理解しているかが問われる。勉強する際には「この単語をどのように知らない人に伝えるか」「この事象とあの事象はどのようにつながっているのか」という意識で取り組んでほしい。

 

まとめ

桃山の自然科学は年によってかなり難易度に差が見られるが、今年度は比較的易しめの年だったといえる。とはいえ、受験生のレベルが大きく変わるわけではないので、どんな難易度のセットに当たったとしても周りが解ける問題を確実に解いていくことが重要であることに違いはない。そのために必要なのは、用語の意味を正確に理解することである。受験が近づくにつれて、問題演習をベースとした勉強が増えていくが、その前に今一度基礎を復習することを強くお勧めする。